暁 〜小説投稿サイト〜
日本国召喚〜Country survival〜
邂逅編
第2話 交流と迫る不穏
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示が発された直後、会議場を静寂が満たす。これまでの戦争とは一味違う、初めて開始した侵略戦争のような極度の緊張に包まれる。

「まず質問ですが将軍、二国を同時に敵に回して、勝てる見込みはありますか?」

 王国宰相マオス・ジン・ボーアは今回の作戦の全責任者であるパタジンに向かって尋ねる。その問いに対しパタジンは、テーブルに浮かんだ魔方陣を操作しながら答える。

「一国は、農民の集まりであり、もう一国は不毛の地に住まう者、どちらも亜人比率が多い国などに、我が無敵のロウリア王国軍が負けることはありませぬ」

「わかりました、ありがとうございます」

 自信満々の様子を見せるパタジンとは逆に、ロウリア王はマオスに懸念事項を確認する。

「宰相よ、4年ほど前に接触してきたニホンとタイワンとかいう国の情報はあるか?」

 宰相に加えて外務卿の役職も兼ねるマオスは外交のトップでもある。日本と台湾は先んじてクワ・トイネ公国と国交を結んでいた為、4年前の接触時には敵性勢力として彼らの使者を門前払いしてきた。ちなみに韓国は北朝鮮に対する対処の問題もあって、ロウリア王国には接触していなかった。

「二国とも、ロデニウス大陸のクワ・トイネ公国から北東に約200kmの所にある、新興国家です。 クワ・トイネとクイラとの4カ国で同盟を結んでいるようですが、軍事行動に消極的な国であるとの情報から、軍事的に影響があるとは考えられません。 また、奴らは我が部隊のワイバーンを見て『初めて見た』と驚いていました。竜騎士の存在しない蛮族の国と思われます。情報はあまりありませんが」

 ワイバーンはこの世界における唯一と言っていいほど差し違いない軍隊の航空戦力だ。そのワイバーンがいないとなれば、地上、洋上における火力支援が受けられず不利になる。そのためロウリア王国は日本と台湾の事をワイバーンのない弱小国家と見下していた。

「ですが、クワ・トイネ公国軍が配備し始めている『大砲』や『銃』は、この2カ国から輸入しているらしいとの情報もあります。 恐らくワイバーンが生息しておらず、陸戦のみが発達していた国なのでしょう。 その様な航空支援を知らぬ国など、我が最新鋭の飛竜を取り揃えた飛竜騎士団で一捻りにして差し上げましょう」

 パタジンは口の端の片方を釣り上げてそう言い、ハーク・ロウリア34世もそれに合わせて笑みを浮かべる。

「しかし、我が代でついにこのロデニウス大陸が統一され、忌々しい亜人どもを根絶やしにできると思うと、余は嬉しいぞ!!」

 ハーク・ロウリア34世は、嬉しそうな様子でそう言う。するとそれを遮るように、わざとらしい気持ちの悪い声が王の耳に入った。

「大王様〜?統一の暁にはあの約束もお忘れなく、お願いしますよ〜?クックックッ〜」


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