暁 〜小説投稿サイト〜
魔道戦記リリカルなのはANSUR〜Last codE〜
Saga17-D侵撃のT.C.〜4th wave〜
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召喚獣と両断するには異質過ぎた。“レヴァンティン”の柄をギュッと力強く握りしめ、深呼吸を二度。神秘カートリッジの効果が切れるより前に「討つ!」と、2つのハサミをパカパカと開閉しているフォヴニスに接近を試みる。

「フォヴニス!」

頭部の上に立つ奴が高らかに名を叫ぶと、フォヴニスは両ハサミを伸ばしてきた。あれほど大きなハサミを受けるわけにはいかん。ジグザグに躱しながら接近を続け、フォヴニスの腹の下に潜り込む。隙だらけの腹を裂いてしまえば・・・。と考えたところで頭の中で、ダメだ、という強烈な直感が働いたため、立ち止まることなくそのまま通り抜けようとした。

――卑怯者への断罪の雨――

金属音を立ててフォヴニスの腹の装甲が観音開きで開いていく。装甲の中は空洞で、詰まっているのは翠色の膨大な魔力のみ。炎のように揺らめくその魔力から地面に向かって放たれるのは無数の魔力の針――いや槍だ。槍の雨が、私を貫こうと降り注いできた。

(直感に従って通り抜けて正解だったな。足を止めていれば無事では済まなかっただろう)

胴体だけでおよそ45m、尾を含めればその倍以上の全長を誇るフォヴニス。通り抜けるまでに数発が至近弾として地面に着弾したが、無傷で通り抜けることが出来た。そんな私に頭上から「ほう。大した幸運だな。どんなまじないをしたんだ?」と声を掛けられた。

「まじない? 違うのだろう? お前は私に当てようとしなかった」

「・・・」

潜り抜ける際、直撃を受ける、と覚悟した射線のものあったのだが結局は外れた。殺すなと連中のリーダー(王と呼んでいるそうだが)から指示を受けている以上、魔術の直撃は狙わないのだろう。だからと言って回避行動を取らずに1発も掠ることなく済むというのもおかしな話だ。まぁ私の速度ゆえに狙いが定まらなかったというのなら仕方がないが。

『シグナムお待たせ!』

本来の小さな姿となっているアギトが私の元へと飛んできた。押し黙ったままの奴はフォヴニスへの指示も出さず、私とアギトの「ユニゾン・イン!」の妨害をしなかった。さらに「シグナム一尉! 私たちも手伝います!」と、トリシュとアンジェリエが合流してくれた。

「おっと。少し考え事をしていたら気付かないうちに増えているじゃないか」

「見たところ我々3人を相手に、お前とフォヴニスで勝てると思うか?」

私はルシルの神秘と魔力が装填されたカートリッジを使用している。借り物とはいえ神秘を使っているからこそ判る奴らの神秘の濃度。奴とフォヴニスよりこちらの方が上だと判る。それは奴も同じのようで「確かに。残り1人にも合流されると厄介だな」とアリサの方を見た。アリサもルシルのカートリッジを使っているからな、気にはなるだろう。

――ゼクンデアングリフ――


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