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レーヴァティン
第百七十八話 アルプスとドナウ川その一

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               第百七十八話  アルプスとドナウ川
 英雄は久志に大坂に戻り政に戻ったことまで話した、今二人は大学の構内の和風喫茶の中にいる。そこで抹茶を飲みつつ語ったのだ。
 語り終えてだ、英雄は久志にこうも言った。
「思えば長かった」
「ああ、政をじっくりしてな」
「攻めてな」
「大坂城に戻るまでな」
「だがな」
 それでもというのだ。
「得られたものは多かった」
「そうだな、お前も色々やってるな、特にな」
「女か」
「そっちも相変わらずだな」
「実にいいものだからな」 
 女はというのだ。
「だからな」
「それでか」
「ああ、毎日な」
 あちらの世界ではというのだ。
「楽しんでいる」
「そうだよな」
「お前もそうしているか」
「俺は一人だけだよ」
 違うとだ、久志ははっきりと返した。
「そこはな」
「違うか」
「お前とはな」
「酒池肉林には興味がないか」
「酒と肉は好きでもな」
「女はか」
「一人でいいさ」
 英雄に自分も抹茶を飲みながら話した。
「俺はな」
「そうなのか」
「というかお前こっちの世界だとな」
「相手自体がいない」
「一人もか」
「そして実を言えば一人でもな」
「構わないんだな」
「だが女達は俺が相手だとな」
 そうであるならというのだ。
「身体がもたないと言う、そして俺も何人も相手が出来るなら」
「そうした状況ならか」
「一度に相手をする」
「そういうことなんだな」
「そうする」
「まあこっちの世界の決まりにも適応出来るならいいさ」
 久志は抹茶を飲みつつそれならと返した。
「所謂一夫一妻にな」
「今の日本ではそうだな」
「昔はちょっと金があったら二号さんとかいたんだよな」
「かつてはな」
「政治家なり財界人でもな」
「俳優や小説家でもな」
「そうだったな」
 桂太郎も妾さんがいたことが知られているし伊藤博文に至っては英雄もかくやという程であった。そして小説家でも太宰治が有名である。
「昭和まではな」
「それが平成になるとな」
「そういうのはけしからんってことになってだよ」
「急になくなったな」
「今じゃ政治家や俳優が浮気したらな」
「それで終わりだ」
「政治生命それで潰す政治家とかな」
 それこそというのだ。
「あるしな」
「そして俳優でもな」
「女は芸の肥やしとかな」
「過去の言葉だ」
「それでCM降板とかも普通だしな」
「それが今だ」
「いいか悪いか別にしてな」
 そうなっているとだ、久志は英雄に話した。
「それでお前もな」
「浮気をしたりだな」
「そんな酒池肉林とかな」
 そちらの意味でというのだ。
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