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どんな困難も
第五章

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「やっていけます、運が悪くても星の巡りがいいので」
「私はそうだからですか」
「安心して下さい」
「大事にはですね」
「至らないです」
 易者は亜希に微笑んで話した、そしてその占いの後でだった。一文字は亜希に一緒に入った喫茶店の中で話した。
「やっぱりね、亜希ちゃんはね」
「運が悪くてもなのね」
「色々嫌なことが起こっても」
 普通の人より遥かにそれは多いがというのだ。
「それでもね」
「大きなことにはならなくて」
「それでね」
 そのうえでというのだ。
「やっていけるんだよ」
「そうなのね」
「運は確かに大きな要素だけれど」
 それでもとだ、一文字はコーヒーを飲みつつ亜希に話した。亜希はメロンソーダを頼んだが品切れで馬場なジュースを頼んで飲んでいる。
「それだけじゃないね」
「星の巡りって易者さん言ってたわね」
「亜希ちゃんはそれがいいから」
「だからなのね」
「不幸もね」
 これもというのだ。
「小さくて済んでるんだ」
「じゃあ」
「これからもそのことをわかって」
 それでというのだ。
「やっていこうね」
「それじゃあね」
「これからね」
「わかったわ、ずっと運がないって思って」
 それでとだ、亜希はバナナジュースを飲みながら応えた。思えばよく最初に注文したものは品切れの場合があるが二番目までそうであることはなかったし次に来た時に頼めばそれはちゃんとあったことばかりだった。
「嫌に思っていたけれど」
「星の巡りがいいとね」
「いいわね」
「そうだね、じゃあね」
「これからはね」
「そのことをよしとしてやっていこう」
「七難八苦でも」
 それでもとだ、亜希は言った。
「それが全部小さなことで済むなら」
「いいね」
「そうね、これからは項垂れずに」
「前向きにだね」
「考えていくわ」
 運が悪いのではなく星の巡りがいいとだ。
「そういえば悪い人には会っていないし努力は実ってるし」
「それじゃあそんなに悪い人生じゃないね」
「そうね、そうした不幸は小さなことね」
 亜希は微笑んで言った、そうしてまたバナナジュースを飲んだがそのジュースは美味くそれだけで幸せに思えた。亜希はそこにも前向きなものを見てそのうえで一文字と楽しく話をしていった。その会話も幸せに思えた。


どんな困難も   完


                  2020・7・19
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