第一章
[2]次話
干支だから
大友家には犬とハムスターがいる、犬は雄の茶色と白の毛の柴犬で名前をゴン太という。ハムスターは焦げ茶色と白の毛の雄で名前をピッピという。
最初はゴン太が来てだった、そして。
ピッピが来た、その時に家の夫であり父であり光泰は言った、黒髪はブローされていて細い目で色黒で背は一七四センチ程のひょろっとした中年男だ。
「大丈夫かな」
「ゴン太との仲ね」
妻のあかり、ハムスターを飼うことを決めて買って来た彼女が応えた。黒髪を長く伸ばしていて面長でやや垂れ目の女性だ。年齢は三十位で最近ウエストが気になっているがスタイルはそんなに悪くはない。
「そのことね」
「犬とハムスターだからな」
「種類が違うから」
「だからな」
それでというのだ。
「本当にな」
「どうなるのかね」
「心配だな」
「大丈夫だと思ったから」
それでとだ、妻は夫に話した。
「それでね」
「ハムスターも飼うんだな」
「そうするから」
「そうなんだな、まあな」
ここで夫はこう言った。
「ハムスターはケースの中に入れるな」
「基本ね」
「それにゴン太はドッグフード以外食べないしな」
「大丈夫よ」
「そうだな」
「だからね」
「安心していいか」
「ええ、優馬にもそう言ったから」
二人の息子の彼にもというのだ、髪の毛の質は父に顔立ちは母によく似たまだ小学校に入ったばかりの息子にも。
「だからね」
「安心してか」
「飼えるわ」
「そう言うならな」
夫は妻の言葉に頷いた、そうしてだった。
ハムスターはピッピと名付けられて家に入った、まずはピッピをケースに入れた状態で対面となったが。
「ワンッ」
「キイッ」
お互いに明るい調子で鳴いた、ゴン太は尻尾を横にぱたぱたと振っていてピッピも上機嫌だった。夫はその二匹の様子を見て言った。
「仲よさそうだな」
「そうね」
妻は笑顔で言った。
「これだとね」
「仲良くな」
「やっていけそうだから」
「心配はいらないな」
「ええ、鼠と猫は駄目だけれど」
この組み合わせはというのだ。
「鼠と犬はね」
「いいな」
「ハムスターも鼠だしね」
それでというのだ。
「鼠と犬はね」
「いいんだな」
「考えてみたら」
ここで妻は夫にこう言った。
「干支ね」
「ああ、鼠と犬はな」
そういえばとだ、夫は妻の言葉に頷いた。
「そうだな」
「鼠は干支の最初でね」
「犬は十一番目だな」
「犬の方がずっと後でも」
それでもというのだ。
「同じ干支だから」
「相性も悪くないか」
「そうじゃないかしら」
「そうか、まあ仲がいいならな」
それならとだ、夫も言った。
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