第一章
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理解者達
桜井義夫はこの時憮然としていた、そうして友人達に愚痴を漏らした。
「俺間違ったことしたか?」
「そんな訳ないだろ」
「聞いてる限りお前正しいぞ」
「何処が悪いんだよ」
「そうだよな、けれどな」
それでもとだ、彼は友人達に屋上で言った。背は一七六位ですらりとしている。黒い目は切れ長で鋭く赤く染めた髪は前に伸ばしている。白い半袖のシャツとグレーのズボンの夏用の制服が似合っている。
「俺校長に怒られたんだよ」
「それ校長がおかしいだろ」
「あの校長自分のことしか考えないって評判だぞ」
「先生達の間でも評判悪くてな」
「最悪だって言われてるだろ」
「それでもな」
こう言うのだった。
「俺校長室に呼ばれてな」
「直々に怒られたんだよな」
「青信号で横断歩道駆けていた犬にバイクが突っ込んできて」
「その犬助けたらバイクがこけて」
「それで運転してた奴が怪我したって」
「そうなんだよ。その運転してた奴がヤクザ屋さんの新入りでな」
それでというのだ。
「学校に文句つけてきたらしいんだよ」
「ヤクザ屋さんの文句に頷くなよ」
「そ時点でおかしいだろ」
「しかも青信号じゃねえか」
「それで来る方がおかしいだろ」
「何でお前が怒られるんだよ」
「けれど怒られてな」
それでというのだ。
「親にも連絡がいってな」
「それでだよな」
「お前そこでも怒られたんだよな」
「そうだよな」
「そうなんだよ、何でだよ」
ぼやきつつ言った。
「俺が怒られたんだよ」
「明らかにおかしいな」
「校長の方がな」
「どうせヤクザ屋さんにびびったんだろ」
「言い掛かりつけられてな」
「金出せとか言われたんだよ」
「それで親はな」
こちらはというと。
「親父がな」
「ああ、お前の親父さん滅茶苦茶柄悪いしな」
「お袋さんもな」
「元々二人共札付きだったよな」
「しかも本職だよな」
「そうだよ、親父もヤクザ屋さんでな」
息子としてだ、桜井は憮然として言った。
「組の幹部だよ」
「一応偉いさんか?」
「ヤクザ屋さんの中じゃ」
「それでお袋さんも何か仕切ってるよな」
「風俗店か何かな」
「ああ、法律に触れるすれすれか実際に犯罪やってるみたいだな」
これは父もだ。
「それで怪我した新入りってのが系列の組の奴らしくてな」
「怒られたんだったな」
「それもぶん殴られたんだな」
「そうなんだな」
「何でそうなるんだよ」
桜井は憮然としたまま言った。
「本当にな」
「世の中理不尽なこともあるか?」
「そんなこともな」
「というか校長とお前の両親がおかしいだけだろ」
「他の先生はむしろ認めてるだろ」
「俺達だってそうだろ」
友人
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