暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第55話:本当の歌
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落とすのかと届かぬ手を伸ばしていると、それより早くに何かがヘリに突撃した。

 一瞬フライトノイズがトドメを刺そうとしたのかと思ったが、そのヘリに突撃したものは東野村を抱えて3人の元へと素早く降下した。
 そこで漸く奏達はそれが何であるかを理解した。

「透! クリス!」

 ヘリに突撃したのはライドスクレイパーに乗った透とクリスだった。自力で飛行できる透はライドスクレイパーにクリスを乗せて現場に急行し、そこで操縦不能に陥った東野村のヘリを見つけて彼だけを救うべく突撃したのだ。

 既にメイジに変身している透とイチイバルを纏ったクリスは、東野村を降ろすと自分達もライドスクレイパーから降りた。間一髪のところで救出された東野村は、地面に降り立った瞬間安堵のあまりその場に座り込んでしまった。

「し、死ぬかと思った……」
「東野村さん、大丈夫ですか!?」
「あ、響さん。えぇ、何とか……生きてるのが不思議ですが」
「必死こいて回避したのが功を奏したな、あんた。燃料タンク直撃されてたら一撃だったぞ」

 それだけでなく、ギリギリまで機体を制御しようとしていた事も彼が生き残れた要因だった。最後まで諦める事無く必死に機体を操作し、墜落は避けれずとも被害を少しでも抑えようとした結果透の救出が間に合ったのだ。

 とにかくここに何時までも居られては戦闘の余波で折角拾った命を無駄にしてしまう。早々に落ち着かせると透に離れた所へ運んでもらった。

「さって、邪魔が居なくなったところでさっさと終わらせるとするか…………と、その前に……ん」

 クリスは奏の前に立つと、少し視線を泳がせた後上目遣いになりながら手を差し出した。奏と翼は困惑したが、響はそれが意味する事に気付き笑みを浮かべた。

「クリスちゃん──!!」
「その……悪かったよ。この間とか、色々。これからは仲間になる訳だし、これくらいはした方が良いかなって」
「…………意外だね。もうちょっと意地張るかと思ってたけど」
「う、うるせぇな!? お前らと協力しないと結果的に透が危ないから仲良くするだけだ!?」
「何よ、結局意地っ張りじゃない」
「何でも良いじゃないですか。こうやって、仲良くなれたんですから!」

 そう言って響はクリスの手を掴んだ。透以外の者に手を握られて身を固くするクリスだったが、続いて奏がもう片方の手を掴んだことで緊張を解いていく。左右から純粋な笑みを向けられ警戒が解けたのだ。
 さらに響と奏と翼が手を繋ぎ、4人が円を作る。

 今にもノイズの大群が襲い掛かってきそうだと言う時に何をと思うクリスだったが、その反面この状況を場違いにも心地良く感じている自分が居る事にも気付いていた。

──そうか……これなんだな、透──

 クリスは今まで
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