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嫌なおじさんの素顔
第二章
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「鏡でもあるんだよ」
「その子供を見れば親がわかるっていいますね」
「親御さんがどんな人か」
「それで、ですね」
「岡田さんもですか」
「あれこれ言う人でもですか」
「その実はね」
 病院の中ではそのクレーマー体質故に嫌われているがというのだ。
「そんなに悪い人じゃないよ」
「悪い人ならモコちゃんもあんなに整っていませんからね」
「健康でもないですね」
「岡田さん怖がっていませんし」
「むしろ物凄く懐いていますね」
「それを見ればわかるよ」
 獣医は優しい笑顔で述べた。
「あの人は悪い人じゃないよ」
「ですね、文句は言いますが怒鳴りませんし」
「定期的にモコちゃん診てもらいに来てますし」
「意地悪でもないですし」
「その実はなんですね」
「その筈だよ」
 獣医はこう言って彼が連れて来たモコを診続けた、その中で。
 岡田はそのモコをいつものむすっとした顔で連れて来てそうして言ってきた。
「昨日から調子が悪い」
「そうなんですか」
「すぐに診てくれ」
 受け付けてこう言ってモコを診せた、そして。
 診断結果を聞いて彼はこう言った。
「手術すればか」
「はい、早期発見ですから」
 それでとだ、獣医は彼に話した。
「間に合います」
「ならすぐに手術してくれ」
「そうさせてもらいます」
「じゃあな、モコもそれでいいな」
 彼は愛犬を見て彼女に問うた。
「暫く離れるがいいな」
「キャン」
 モコは一声鳴いただけだった、状況がわかっている感じではなかった。だがそれでもだった。
 彼女は入院し手術を受けた、そうして暫く病院にいたが退院の日に病院が開院するとそれと同時にだった。
 岡田は病院に来て看護師達に聞いてきた。
「モコは大丈夫か」
「手術は成功しました」
 看護師の一人が笑顔で答えた。
「無事に」
「そうか、ならだ」
「モコちゃんをですね」
「引き取る、有り難うな」
「あっ、はい」 
 看護師は不愛想な岡田からお礼を言われて戸惑った、だが。
 モコはすぐに彼に引き取られた、すると彼は愛犬をとても大事そうに抱き締めてそのうえで看護師に言った。
「また何かあればな」
「こちらにですか」
「来させてもらう、そしてモコを頼む」
「わかりました、じゃあまた」
「出来る限りこうしたことがなかった欲しいがな」
「健康第一ですよね」
「本当にそうだな」 
 最後にこう言ってだった。
 彼はモコを連れて病院を出た、その背中を見て獣医は看護師達に優しい笑顔で話した。
「背中にも出ているね」
「あっ、そうですね」
「言われてみればそうですね」
「優しい感じがしますね」
「どうにも」
「本当にモコちゃんを大事に思っているからね」
 だからだというのだ。
「ああ
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