暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第54話:何処までも天高くヘ
[6/7]
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
そこで奏は先程のメモ用紙の事を思い出し、観客達に笑みを振り撒きながら視線だけを上げてみた。
すると──────
「あ…………」
視線を上げた先に、人が居る筈の無い外壁の淵で左右に振られるサイリウムの光があった。それが何なのか、考えるよりも先に奏は察していた。あれは颯人だ。どうしてか颯人が、ドームの外壁から奏の事を見ているのだ。
これはノイズ出現の報告を聞いた瞬間思い付いた、奏の歌を聞く為の保険である。もし開演に間に合わなかった場合でも、奏に自分が来ている事を知らせる為にしたのだ。ここならテレポートの魔法で直接転移しても騒ぎになる事はない。
「あいつめ…………」
来ていないと思っていた颯人の存在を確認して、奏の心が再び昂る。感情の昂りに突き動かされるままに奏が翼に頷き掛けると、表情から全てを察した翼は内心で胸を撫で下ろした。
「行くぞ、翼!」
「えぇ、奏!」
そうして始まる、ツヴァイウィングのライブは初っ端から最高の盛り上がりを見せた。
お馴染みの『逆光のフリューゲル』と『ORBITAL BEAT』に続き、奏のソロ曲である『逆光のリゾルヴ』と翼のソロ曲である『FLIGHT FEATHERS』は観客を沸きに沸かせた。
それは今までのライブで味わった事の無い程の熱を観客と、奏と翼の2人に齎した。まるで魂が燃え上がるような感覚。
それは外壁の淵で聞いている颯人にも伝わっていた。寧ろこの場で誰よりもテンションが上がっているのは彼かもしれない。佇まいは静かだが、その表情は爛々と輝いている。
無理もないだろう。今までCD音源でしか聞く事が出来なかった奏の歌を、今日は生で聞く事が出来たのだ。奏に心底惚れている颯人は彼女の歌に、自分の中で彼女に対する情熱が燃え上がるのを感じていた。
全ての歌を歌いきり、奏と翼を観客の喝采が包む。
歓声の嵐の中、2人は観客達に向けて宣言した。
「皆、聞いてくれ!」
「私達ツヴァイウィングは……」
「「世界に向けて羽ばたきたい!!」」
それは奏と翼、ツヴァイウィングの海外デビューの宣言であった。前々からオファーは受けていたし、その情報は噂として民間にも流れていた。
だが装者としてノイズと戦う使命の事を考えて、今までそのオファーは保留にしてきていた。しかし今日、魂が燃え上がるほどの歌を歌えた事で、完全に決心がついた。
或いは、その決心はもっと前についていたかもしれない。特に奏に関して言えば、2年前に颯人からの激励を受けた時から心の何処かで世界に羽ばたきたい願望が芽生えていた可能性もある。自分の歌を最高と言って気に入ってくれた彼が、何処に居ても自分の歌を聴く事が出来るように。
「アタシ達は歌が大好きだ! 聞
[8]
前話
[1]
次
[9]
前
最後
最初
[2]
次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]
違反報告を行う
[6]
しおりを挿む
しおりを解除
[7]
小説案内ページ
[0]
目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約
/
プライバシーポリシー
利用マニュアル
/
ヘルプ
/
ガイドライン
お問い合わせ
2025 肥前のポチ