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魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第54話:何処までも天高くヘ
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「な、な、な…………何なんだよあのペテン師がぁっ!?」
2人だけとなった工場地帯にクリスの怒号が響き渡る。
クリスの怒号を背後に、颯人はマシンウィンガーを飛ばす。かなり厳しいが今からならギリギリで会場入りは出来そうだった。
「いやぁ、危ねぇ危ねぇ。危うく間に合わなくなるところだったぜ」
「でもこれで颯人さんも奏さんのライブが見れますね!」
「ま、俺は特等席で観させてもらうがね」
「…………へ?」
***
いよいよコンサートの開催、ツヴァイウィングの出番が目前となった。観客たちのボルテージは最高潮、奏と翼の登場を今か今かと待ち侘びていた。
そんな観客の様子を、奏はこっそり窺っていた。正確には、客席の一画だ。
奏が覗き見る先には事前に招待していた響と未来、そして颯人が居る筈の客席がある。響は開演にギリギリ間に合ったようで、未来と共に席についているのは見えるのだがその隣に居る筈の颯人の姿が無い。
他は満席の中でそこだけがぽっかり穴が開いたように空の客席を見て、奏は不満そうにしていた。自分たちの出番はもう目前…………颯人は間に合わなかったのだ。
「奏さん、そろそろ……」
「あぁ、分かってるよ緒川さん」
後ろから慎次に声を掛けられ、奏は憮然とした声で答えながら引っ込んだ。
──…………嘘つき──
颯人1人が居ないと思うだけで、奏のテンションはダダ下がりだった。先程までの高揚感は何処にもない。
奏のテンションが下がったことには翼も気付いていた。その理由が、颯人が未だに姿を現さない事にも。しかしそれが分かったからと言って彼女にはどうする事も出来ない。
こんな事で最高の歌が歌えるだろうか? 言葉に出さずとも揃って抱いた一抹の不安。それを紛らわせる為か、奏は後頭部をかいた。
「はぁ…………ん?」
その時、奏は異物が手に当たるのに気付いた。注意深く探ると、髪の中に何かがあるらしい。
セットした時にはこんな物なかった筈なのに、一体なんだとその異物を引っ張り出すとそれは一枚のメモ用紙か何かだった。
何故このような物が? と疑問を抱く前に奏はその用紙に書かれた文字に注目していた。メモ用紙には、見覚えのある字でこう書かれていた。
「look up?」
上を見ろ、とはどういう事か? などと考えている間にステージに上がる時間が来た。
メモ用紙をとりあえず慎次に渡し、翼と共にステージに出た。まだ本調子とは言い難いが、折角観客が自分たちの歌を楽しみに集まってくれたのだ。彼らの期待にも応えて見せなければ。
ステージに上がった奏と翼を、大勢の観客が歓声で迎える。2人はそれに応え、笑顔で観客達に手を振り返す。
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