第2話 制圧
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では明星、戦場でお会い致しましょう」
連絡兵はそう言ってその場から去って行き、デュークは席に座ってため息を吐く。その様子にレグルス大公は苦笑を浮かべる。
「デューク殿も大分お年を召されましたな。かつてのアルバの獅子も、寄る年波には勝てませんか」
「違うのだよ、大公殿。私は元よりこの戦いには積極的ではなかった。だが民が新たな領地と資源を求めているのは事実、ここで戦果を挙げねば、民の国に対する信頼も大きく揺らぐ事となる」
「卿も真に苦労しておられるな。だが、この場にいる艦隊の勝利によって、全ての民に新たな富をもたらしましょうぞ」
レグルス大公はそう言いながら、目前に二つのグラスを並べ、そこにコニャックに似た蒸留酒を注ぐ。そして二人はグラスを持ち、静かに乾杯して互いの無事と健闘を祈るのだった。
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帝国標準暦154年8月5日 ミドラス諸島沖
戦いは唐突に始まった。
連合諸王国艦隊3000隻中300隻は、先発隊として今まさに異界の蛮族と対峙している帝国軍艦隊に合流すべく、クロナス島とフィラデストロ大陸の中間地点にあるミドラス諸島より真っ先に襲撃した。
風を魔法で操作し、いつでも順風を生み出す魔法具『風神の拳』によって船団は、地球のよりも速い速力で西へ進む。
が、彼らを襲い掛かったのは、地球諸国によって編成された『国連軍』艦隊の総攻撃だった。
8隻の駆逐艦・フリゲート艦のVLSよりトマホーク巡航ミサイルが発射され、音速で40キロ東の海域へ飛翔。そして近接信管を作動させて起爆した。
高性能炸薬を使ったサーモバリック弾頭の熱波が帆船を襲い掛かり、殆どの船が一瞬で火だるまになる。衝撃波で転覆する船も続出し、レグルス大公はその光景に愕然となる。
「こ、こんなの…こんなのは戦闘ではない!これを戦闘など呼べるか!!!」
レグルス大公がそう叫んだ直後、彼の乗る船に1発のトマホーク巡航ミサイルが直撃。レグルス大公達レグルス大公国艦隊100隻は一瞬で蒸発した。
1日目の戦闘で、連合諸王国艦隊は300隻と3万の将兵を喪失。たった1日で総戦力の1割を喪失してしまったのだった。
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海上自衛隊特別地域派遣艦隊 旗艦「はたかぜ」
海上自衛隊はこの戦いに際し、護衛艦4隻と潜水艦2隻、輸送艦1隻を派遣し、主にクロナス島の再開発とその防衛に従事していた。
その旗艦を務めるミサイル護衛艦「はたかぜ」艦橋では、艦隊司令が乗組員達に向けて計画を話していた。
「本艦隊は国連軍とは独自に、この地域の調
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