病院再び
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病院の駐車場にバイクを停め、ハルトと可奈美はバイクから降りた。
フェニックスとの闘いの後、チー君は見滝原公園の草原で寝ているところを見つけた。右手に握られているビー玉から、あの混乱の中ビー玉を見つけて、待っていたら寝てしまったのだろう。友奈とはそこで別れ、可奈美を連れてチー君を送りに病院にやってきた。
「まさか三人乗りになるとは……」
「ごめんね。私もちょっと、病院に用があったから」
可奈美がヘルメットを返しながら言う。受け取ったハルトは、それをシートの裏に収納した。ハルトの前に座っていたチー君は、元気に「早く早く!」と訴えている。
「おうおう。クトリちゃんから連絡先聞いておけばよかったな……」
「クトリちゃん?」
「チー君の姉ちゃん。この病院で暮らしているんだって」
「この病院で?」
「らしいよ」
そういいながら、ハルトはチー君を連れながら自動ドアをくぐった。
相変わらず、巨大な施設として、見滝原中央病院はあった。縦に長く並ぶ受付カウンターと、無数に並ぶ
「ああ。あ、俺先にチー君を送っておくけど、可奈美ちゃんここで待ってる?」
「ううん。私も病院に用あるって言ったでしょ? 私はそっちに行くよ」
受付でハルトたちの後ろに並ぶ可奈美。だが、受付の行列はとても長く、時間もそれなりにかかってしまいそうだ。
「用って?」
「この前、チノちゃんのお見舞いに行ったときに、別の患者と仲良くなったんだ」
「どんな人?」
「同世代の女の子。病室から出られないんだけど、テレビとかで私のことを知ってたみたい」
「可奈美ちゃん、テレビ出たことあるの?」
「刀使の特集で何回かね。その時から、私に憧れていたみたい」
「特集の人の顔とか覚えられるのって、すごいね」
「でもうれしかったよ」
「良かったね。熱烈なファンがついて。お」
前の主婦が受付を終え、ハルトの番となる。受付を済ませたハルトは、可奈美と別れて、チー君を「孤児居住フロア」というエリアへ連れて行った。
「ここか……」
ハルトは、屋上近くのフロアで呟いた。
ガラスドアに書かれた、「孤児居住フロア」という文字。フロア一つを丸ごと使っているそこは、居住フロアというよりは、幼稚園や保育園などの一室のようにも思えた。ガラスから見えるフロアには、二人の中年の保母さんと、小粒のような子供たちがはしゃぎ回っている。
「こんにちは」
ハルトはノックをして、ガラスドアを開ける。すると、保母さんのうち一人がこちらを向いた。
「あら? お客さん? 珍しい」
「あ、いや。こっち……」
ハルトはチー君を前に押し出す。
「ただいま!」
チー君は元気に両手を上げる。保母さんはビックリしたように
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