赤と青の敵意
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火柱があった地点に着いたとき、ハルトは街の惨状に言葉を失った。
「何だこれ……?」
これまでハルトも幾度となく足を運んだ街並みだった。大通りを挟んだ商店街と、その後ろにそびえる大きなコンクリートが、この通りの本来あるべき姿だった。
しかし、今やそれらは瓦礫の山となっている。店も車も街並みも、全て一様に破壊されていた。
「これって……」
「ひどいね……」
可奈美が手ごろな瓦礫をどけた。重傷者に肩を貸し、離れたところまで避難させる。
「! ハルトさん!」
可奈美が指差したのは、その破壊の根源らしき人物。
赤いボディと、金の翼を持つ人影。その右手には、巨大な剣が抱えられており、それを振り回し、炎の斬撃を振り撒いていた。ヒロイックな風貌は、その破壊衝動でより恐怖をあおっていた。
「あん?」
炎の怪人は、その青い眼で、ハルトたちを見据える。その時、ハルトはその存在へ敵意を向ける。
「ファントム……!」
「ハッ! まだ逃げてねえ奴らがいたか」
巨大な剣を左右に振りながら、ファントムは悠々と歩み寄る。
「絶望させるのもいいが、たまには単純にぶっ壊してえ。おい人間ども。オレにぶっ壊されろ」
「お前がやったのか……?」
当たり前のことだが、聞かずにはいられなかった。すると、ファントムは悪びれもせずに鼻を鳴らす。
「当たりめえだ! オレはファントム。ぶっ壊して何が悪い?」
「……ここまでやる奴もいるのか」
ハルトは歯を食いしばりながら、腰からルビーの指輪を向いた。
「響ちゃん……君はお人よしすぎるよ。ファントムと共存なんて、やっぱりできるわけがない! 可奈美ちゃん!」
「うん!」
ハルトがルビーの指輪にカバーをかぶせると同時に、可奈美が千鳥の鞘より剣を抜く。
「変身!」
「写シ!」
ウィザードへの変身である赤い魔法陣と、写シである白い光が並び立つ。
それをじっと見つめるファントムは、満足そうに肩を回す。
「面白え。テメエが噂の魔法使いか」
「噂?」
「ハルトさんのこと、ファントムでも広まっているみたいだね」
可奈美が正眼の構えをした。真っ直ぐにファントムを見据える。
するとファントムは、少し可奈美と可奈美に興味を持ったように顔を向けた。
「あ? ただの人間が、ファントムに立ち向かうってか?」
「やってみないと分からないよ?」
可奈美が不敵な笑みを浮かべた。
そして。
「行け! グールども!」
ファントムが投げた無数の魔石が、灰色の小鬼になったと同時に、ウィザードたちは駆けだした。
『コネクト プリーズ』
銀の銃剣、ウィザーソードガンを取り出し、一気にグールた
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