暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
赤と青の敵意
[1/6]

[8]前話 [1] 最後 [2]次話
 火柱があった地点に着いたとき、ハルトは街の惨状に言葉を失った。
 
「何だこれ……?」

 これまでハルトも幾度となく足を運んだ街並みだった。大通りを挟んだ商店街と、その後ろにそびえる大きなコンクリートが、この通りの本来あるべき姿だった。
 しかし、今やそれらは瓦礫の山となっている。店も車も街並みも、全て一様に破壊されていた。

「これって……」
「ひどいね……」

 可奈美が手ごろな瓦礫をどけた。重傷者に肩を貸し、離れたところまで避難させる。

「! ハルトさん!」

 可奈美が指差したのは、その破壊の根源らしき人物。
 赤いボディと、金の翼を持つ人影。その右手には、巨大な剣が抱えられており、それを振り回し、炎の斬撃を振り撒いていた。ヒロイックな風貌は、その破壊衝動でより恐怖をあおっていた。

「あん?」

 炎の怪人は、その青い眼で、ハルトたちを見据える。その時、ハルトはその存在へ敵意を向ける。

「ファントム……!」
「ハッ! まだ逃げてねえ奴らがいたか」

 巨大な剣を左右に振りながら、ファントムは悠々と歩み寄る。

「絶望させるのもいいが、たまには単純にぶっ壊してえ。おい人間ども。オレにぶっ壊されろ」
「お前がやったのか……?」

 当たり前のことだが、聞かずにはいられなかった。すると、ファントムは悪びれもせずに鼻を鳴らす。

「当たりめえだ! オレはファントム。ぶっ壊して何が悪い?」
「……ここまでやる奴もいるのか」

 ハルトは歯を食いしばりながら、腰からルビーの指輪を向いた。

「響ちゃん……君はお人よしすぎるよ。ファントムと共存なんて、やっぱりできるわけがない! 可奈美ちゃん!」
「うん!」

 ハルトがルビーの指輪にカバーをかぶせると同時に、可奈美が千鳥の鞘より剣を抜く。

「変身!」
「写シ!」

 ウィザードへの変身である赤い魔法陣と、写シである白い光が並び立つ。
 それをじっと見つめるファントムは、満足そうに肩を回す。

「面白え。テメエが噂の魔法使いか」
「噂?」
「ハルトさんのこと、ファントムでも広まっているみたいだね」

 可奈美が正眼の構えをした。真っ直ぐにファントムを見据える。
 するとファントムは、少し可奈美と可奈美に興味を持ったように顔を向けた。

「あ? ただの人間が、ファントムに立ち向かうってか?」
「やってみないと分からないよ?」

 可奈美が不敵な笑みを浮かべた。
 そして。

「行け! グールども!」

 ファントムが投げた無数の魔石が、灰色の小鬼になったと同時に、ウィザードたちは駆けだした。

『コネクト プリーズ』

 銀の銃剣、ウィザーソードガンを取り出し、一気にグールた
[8]前話 [1] 最後 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ