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リュカ伝の外伝
天使とラブソングを……?(第4幕)
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誰よ……アンタ以上のクズって!?」
ポピーさんがあり得ないくらいの冷めた目でウルフさんに問いかける。

「母親が姉さんと一緒の女ですが、何か?」
「「「アイツか!」」」
お父さんとポピーさんとヘンリー様が同時に呟いた。因みに私も心の中では呟いた。

「『ファンから効率よくお金を巻き上げたいから、こんなイベントを企画したの?』って俺にプレゼンしてきました」
あの()歌姫(アイドル)に向いてない。

「……如何やらミサも終わりの様だ」
お父さんの言葉で気が付くと今日のミサも終わっていた。
何時もの様にマーガレットさんが「はぁ〜、今日も為になる話でしたよ〜」とお母さんにお礼を言って出口へ向かう。

ぶちゃけ……この人達の会話が強烈すぎて、お母さんの話は全然入ってこなかった。
ゆっくりと歩くマーガレットさんを見送りつつ軽く会釈をする……すると同じ列の反対側に陣取った連中に目が行く。

ヘタレはヘタレなりにタイミングを見計らって女に話しかけたいらしく、我々(主にお姉ちゃん)の動向をチラチラ伺っている。イライラする。
気付いてか気付いてないのか(多分間違いなく気付いてる)お父さん達は、ただ黙って連中が帰るのを待ってる。凄い威圧感で……

壇上のお母さんも気付いたらしく、説教に使った原稿用紙等を音を立てて整理し、この威圧感を加速させる。
勿論ヘタレ連中に我慢できる胆力は無く、こちら(主にお姉ちゃん)をチラチラ見ながら聖堂から出て行った。イライラする。

完全に出て行ったのを見計らい、私は聖堂の戸を閉め鍵をかけた。
普段は鍵はかけないが、今日この時間だけは特別だ。
それを見計らったお母さんが近付いてきて「ありがと」と小さく言う。

私が元いた場所に戻ると同時に「如何(どう)だった?」と両手を胸の前でモジモジさせながら上目遣いでお父さんに評価を求めるお母さん。
可愛い!

「うん。凄く良い内容の説教だったよ……退屈だけど」
「あぅ〜……やっぱり信者さんが来ないのは私の話が悪いのね〜」
お母さんの話が悪いのでは無くて、基本的に退屈なのが原因だと思うわ。

「違う違うフレアさん。良いんだよ退屈で……教会の説教が退屈ってのは最高の褒め言葉だ。とっても為になる良い内容だったんだ」
そうだろうか? 楽しいにこしたことは無いと思うけども。

「まぁお前が言わんとしてる事は理解できる……けど、そうすると如何するんだ?」
ヘンリー様が疑問をお持ちの様に、教会が退屈な場所である以上、手の施しようが無い。
お父さんは如何するのだろうか。

「うん。やっぱり思ってた通り“天使にラブソングを”作戦だね」
「「「……………」」」
作戦名の内容を聞きたく、皆が静かに待つが、答える素振りが見えてこない。


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