第二章 勇美と依姫の幻想郷奮闘記
第67話 明かされる秘密
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はないのだ。
だから、依姫は他の玉兎の気持ちとイシンの安全の為に秘密裏に話を進めていた、そういう事である。
「イシンさん……おめでとうございます」
「あ、ありがとうございます……」
まだ呆けた状態ながらもここは労うべきだと踏んで言う勇美と、突如労われた事によりたどたどしくもお礼で以て返すイシン。
話は飛んでいるものの、事の流れは知る事が出来た勇美。だが、こうなってしまっては最後にこう聞いておかなければいけないだろう。
「……失礼な事言うかも知れませんが、『イシンさんが目覚めた能力ってそんなに凄いんですか』?」
それが勇美が導き出した結論であった。そう彼女が至ったのも無理のない事であろう。
──何せ月の重役の補佐という大それた役職に就く訳だ。生半可な能力では到底辿り着けない境地というものである。
「ええ、切っ掛けを作った私でも驚いたわ」
そう切り出したのは豊姫であった。そして彼女は『イシン、お願いね』と何かを促したのだった。
「はい、勇美さん。それではお見せしますね」
そう言ってイシンはおもむろにスペルカードを取り出して宣言する。
「【識符「ギアブレインズ」】……」
イシンはそう神妙に紡ぐと、彼女の背後に無数の歯車のビジョンが出現したのだ。
そう、勇美が彼女達と弾幕ごっこに打ち込んだ時と同じ光景である。これがイシンの能力の根源なんだと。
だが、ここからはあの時とは様相が違っていたのだった。
何やら噛み合った歯車の間で文字のような物が忙しく蠢いているではないか。勇美は何だろうと思い、それらを注意深く見てみると……。
『『演技』、ご苦労様でした、レイセン……いえ『イシン』』
『この子、イシンなら今後心配は要らないわよ』
『ええ、切っ掛けを作った私でも驚いたわ』
等という文字も見受けられたのだ。それは正に。
「今までの会話の内容ですね」
その勇美の指摘する通りなのであった。しかし、これが意味する所が分からずに勇美は困惑した。
「これ、どういう事なんですか?」
「うん、やっぱりこれだけ見ても分からないよね〜」
勇美の疑問に、豊姫は勿体ぶって彼女をはぐらかしていた。
イシンは失礼ながらもそんな勇美を見ているのが癒されると思っていたが、このままでは可哀想だと考えて助け舟を出す事にしたのだった。
「勇美さん、私の能力は『あらゆる文章を管理する』というものですよ」
それは具体的にどういう能力なのか。勇美がその事を聞くと、イシンはなるべく明かしたくないのが普通の自分の能力というものの中にありながら快く説明を始めるのだった。
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