第六章
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「いらして下さい」
「それじゃあね」
「はい、では今日は」
「これでね」
世界は北条と麗奈にぺこりと頭を下げてそのうえで教会に戻った、その彼女を見送って家への帰路についてだった。
その道中、少しの中で北条は娘に言った。
「あの娘ひょっとしてな」
「どうしたの?」
「本当に天使じゃないのか?」
こう言った。
「若しかして」
「そんな筈ないじゃない」
麗奈は父に笑って答えた。
「それはね」
「ないか」
「有り得ないわよ」
絶対にという言葉だった。
「だから異世界から来たとか未来から来たとか」
「そういうのならか」
「信じるけれど」
それでもというのだ。
「ここ日本だから」
「日本だからか」
「そう、サンタさんは来ても」
クリスマスにというのだ。
「それでもね」
「キリスト教とは縁がない国だからか」
「それはないわよ」
こう言うのだった。
「天使はね」
「しかし教会もあるだろ」
そのキリスト教のとだ、北条は娘に言った。
「信者さんは少なくてもな」
「教会はあってもないわよ」
「本当にないって思ってるんだな」
「ないわよ」
「そうか」
「そうよ、けれど凄くいい娘だから」
それでとだ、麗奈は世界自身については肯定して話した。
「皆から凄く好かれて慕われて頼りにされてるの」
「そうなんだな」
「そうよ、だからまたお家に呼ぶから」
こう父に言ってだ、そしてだった。
娘は家に帰ると風呂に入って寝た、北条も娘の後で風呂に入りそうして妻と同じ部屋で寝た。その一月後に。
北条は仕事から家に帰る時に夜空に教会に降りたつ影を見た、それは背中に翼がある髪の長い少女のものであった。その影を見た後で。
北条は家に帰ってからリビングでスマホでネットの動画を観ている麗奈に対して自分が見たものを話した。
「天使って本当にいるかもな」
「そんな心の人?」
麗奈は一月前に話したことを忘れて父に応えた。
「清らかな」
「ああ、そしてそうした心を持ったな」
彼はさらに言った。
「天使もな」
「いるっていうの」
「そうかもな」
「まあいるかもね」
ネットの動画、バスケのそれを観つつ父に応えた。
「それは」
「そうみたいだな」
「日本にはいなくても」
ここで麗奈は一月前の自分の言葉を思い出して言った。
「そうでしょうね」
「そこでそう言うのか」
「日本だからね、ここ」
「日本だからか」
「そうよ、キリスト教に縁がないから」
それでというのだ。
「いないけれど」
「あくまでそう言うんなら」
「けれど天使らしい天使はね」
それはとだ、麗奈はさらに言った。
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