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相手は誰でも
第二章

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「そうだな」
「はい、ですが私達はです」
「私とは違うというのか」
「そこまで誰彼なしではないです」
「常に何人もの侍女を傍に置いてもか」
「左様です」
「そうは見えないがな」 
 ヘパイストスは妹にどうかという顔で応えた。
「私には」
「私は嘘は言いません、無理強いもしませんし」
「それもか」
「はい、多くの神や人がそうしますが」
「そこは違うか。だがな」
「それでもですか」
「そなたもやはり美女ならばだ」
 つまり自分の好みの同性ならというのだ。
「結局はだ」
「同じといいますか」
「そうではないかとも思う」
 こう言うのだった。
「どうもな」
「そう言われると」
 アテナとしてもだった。
「私も」
「そのことを認めるな」
「粗末にはしていませんが」
「そうした問題でなくな」
「美しき女ならば」
 アテナは今度は率直に言った。
「やはりです」
「神も人も関係ないな」
「そしてニンフも」
「アルテミスもな」
「それなばらばじゃ」
 まさにというのだ。
「結局はわしとお主は同じじゃ」
「左様でありますな」
「そして他の神ともな、特にな」
「父上ですね」
「もう父上になるとな」
 ヘパイストスは今度は自分達の父親であるゼウスのことを話した。
「それこそな」
「父上ですね」
「凄まじいな」
「あの、父上はです」
 アテナは彼女にしては珍しく口ごもりつつ兄神に述べた。
「最早です」
「別格であられるな」
「何といいますか」
「はい、最早です」
「これはと思ったならな」
「誰でもですから」
「だからな」
 ヘパイストスはあらためて言った。
「最早な」
「別格ですね」
「そう言ったのじゃ」
 今の様にというのだ。
「まことにな」
「左様ですね」
「我等では到底及ばぬ」
「他のことは素晴らしい方ですが」
「聡明であられ公平で冷静でな」
「そして度量もおありで」
「まさに天空の神に相応しい」
 天界という人の世界である地上を除いた世界の三つの世界のうちの一つを治める神にというのである。
「そうした方だが」
「ことあのことに関しては」
「実の息子や娘には手を出さない」
「そのことが救い位ですね」
「まことにな」
 ヘパイストスはこう言ってだ、そのうえで。
 かなり引いた顔で妹神に小声で囁いた。
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