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最も恐ろしい責め
第三章
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彼は遂にある日彼を護る筈の兵士に殺されてしまった。こうして彼の暴虐は遂に終わった。
 彼の悪行は全て否定され歴史に残された。だが。
 その行いを見てある者はこう言うのだった。
「確かに否定されるものだが」
「それでもですか」
「実際にこうした行いをしたと思うこともな」
 あるというのだ。
「おぞましいがしかしだ」
「そこに魅力がありますか」
「狂気は時として人を惹きつける」
「カリギュラの行いも然りですか」
「乱倫、腐敗、残虐」 
 まさに病に倒れた後の彼の行いだ。
「確かに忌むべきもので否定すべきものだが」
「それでもですか」
「やはり魅力があると思うがどうか」
「言われてみれば」  
 話を聞く若い男もそう問われればこう思うのだった。
「一度そうした生活を送ってみたいとも思いますね」
「退廃には退廃の魅力がある」
「そういうことになりますね」
「惨たらしい殺し方もそれはそれで興味と興奮を感じる」
 だから人は見て聞いてしまう。それがどれだけ残虐なものであったとしてもそうなってしまうものだというのだ。
 そのことを話して彼等はあらためて話をした。
「カリギュラは確かに忌むべき人物にしても」
「興味を抱くに値する人物であることは間違いないですね」
 少なくとも彼の腐敗と乱倫と残虐、特にその血生臭い行為は歴史に残り今も人々に興味を惹かせる、それが事実だったかどうかも疑問が持たれているがそれが興味の対象となり続けていることは間違いない、カリギュラの人が考えたとは思えない責めが話に残っていることが何よりの証であろう。


最も恐ろしい責め   完


                             2012・9・24
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