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剣製と冬の少女、異世界へ跳ぶ
076話 記憶巡り編 とある視点で見る記憶 その3
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たぶん、イリヤさんっぽい幼女が出てきてから翌日になって相変わらずむつまじく桜さんと一緒に歩いている士郎さんが、ふと手に痛みを感じて見てみると、まるで士郎さんの腕にミミズ張りのような痕が出来ていて血がそこから垂れていた。
なんとなーく、イヤな予感はするもんだけど、そこで魔法に詳しいネギ君が叫んだ。

「これって、もしかしてスティグマ!?」
「ネギ? そのスティグマって……なに?」

まるで訳が分からないようなアスナは放置するとして、ネギ君がそう判断するなら当たりなんだろう。
スティグマ……聖痕。
特別な人間だけに与えられる聖なる傷痕。
イエス・キリストが有名だね。
そんなものが士郎さんの腕に刻まれているって事は、なにかの儀式に選ばれてしまった証という事だろう。

「なるほどな……。こんときからすでに」

さらにランサーさんが訳知りのような顔をしている。
まだ始まったばかり見たいだし先を見ていこうとしようか。
桜さんと別れて美綴綾子さんと校舎に入っていっている途中なんだけど、そこでなにやら慎二さんの話題になる。
どうも部活で下級生の男子たちを女子部員の前で何度も弓を持ったばかりだというのに的に当てるまで笑いものにしていたとか……。

「そのー……なんか慎二さん、変わってしまったのかなぁって……」

のどかがそう呟く。

「しょうもない人になってしまったのですね……。元からの性分なのかは分かりかねますが……」

ユエ吉も厳しい意見だね。
ま、わたしもいい感じはしていないし。
主な理由としては遠坂さんにこっぴどくフラれたとか……。男って……。
それから士郎さんも慎二さんにそれとなく部活の件を聞いているんだけど、うまく流されてしまっていた。
だから士郎さんはこう言った。

『手伝えることがあったら言ってくれ』

と……。
おっとぉ?
なにやらフラグっぽい台詞を言ってしまった感じがするなぁ?
ここは覚えておいて損はないかもしれない。
藪をつついた気もしないでもないからね。

それから一成さんの手伝いをしていて放課後になっていて、士郎さんは帰ろうとしていたんだけど、そこに慎二さんが女子生徒達を取り巻きにしながら歩いてきた。

「うわー。陰険モテ男って感じだね」
「あいやー。私もこういう男子はイヤアルネ」

朝倉とくーちゃんが嫌悪感を出していた。
くーちゃんから出てくるってかなりのもんだと思うなぁ…。

『弓道場の備品を片付けてくれないか?』

それで取り巻きの女子達が藤村さんに頼まれたのでは?と聞いているが、慎二さんはなんかむかつく言い方で、

『あいつ、昔から頼まれごとは好きなんだよ』

と、宣った。
あ、わたしもなんかプチンと来そうな感じがしたよ?いま。
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