四十 孤独の先
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「サスケ…!!」
一瞬、呼びかけられた声に、サスケは立ち止まる。
肩越しに振り返った瞳が、波風ナルの姿を捉えた。
昔と変わらない、太陽の如く輝く彼女。
光の中をまっすぐ愚直に進むナルの姿は、サスケには眩しすぎた。
闇に生きるほうが己に相応しいと、スパイとして夜に紛れるほうが自身に合っていると、兄の─イタチと同じ道を進もうとするサスケには、太陽の光は今、必要ではなかった。
それよりも、月を追わねばならなかった。
ナルと似た金の髪を靡かせ、イタチを殺した憎き人物。
まるでその場に存在していないのかと見間違いそうになりながらも、静かに発する研ぎ澄まされた気配。
それは鮮烈な印象をもたらす太陽とは真逆の、月のような存在。
スパイとは別に真の目的────うずまきナルトへの復讐心を抱くサスケは、ナルを暫し見据える。サスケを見つめ続ける瞳の青が、行くな、と雄弁に語っていた。
ほんの一瞬、揺らぎかけた決意が、しかしながら隣に音も無く近寄った男の声で、立ち直る。
「話は終わったかい?」
一見、好青年に見える彼のいっそ穏やかな声音に、サスケは顔を不機嫌そうに歪めた。
「カブト…」
「サスケくん。『暁』に行くなら僕も同行させてもらおう」
「どういう風の吹き回しだ…?」
眉根に皺を寄せるサスケに、カブトは飄々とした顔でうそぶいてみせた。
「大蛇丸様がいない今、君が暁入りをするのなら都合が良い。僕にとっても──君にとってもね」
「どういう意味だ?」
大蛇丸をサスケが取り込んだ際、カブトは何故か感謝していた。
本当に付き従う主が別にいるかのような物言いをしていた彼が暁に同行するという事は即ち、カブトの主人が暁の誰かである可能性は高い。
カブトは、眼下の忍び達の顔触れを眺める。
気絶させられたサクラを抱きかかえるいの、シカマル、ナル、そしてヤマトを見渡した彼は眼鏡を軽く押し上げた。
「サソリ様の部下である僕なら、ある程度は口添えしてあげられるよ」
カブトの言葉は、天地橋での態度とは真逆のものだ。サソリの部下だったんじゃないのか、というヤマトの詰問を鼻で嗤ったにもかかわらず、今度は自らサソリの部下だと明言している。
「カブト、貴様っ!!結局、サソリの部下として大蛇丸の下に潜り込んだのか!?」
ヤマトの怒号に、カブトは口許に弧を描く。軽薄な笑みだった。
「僕がスパイであることは認めよう」
サソリの部下とも、大蛇丸の部下とも言わず、スパイだとだけ告げる。
本当はナルトの部下であるカブトはあえて真実に嘘を練り混ぜた。
嘘に真実を混ぜることで真実味が引き立ち、本当の真実は見抜けない。
更に、カブト自身がスパイだと認識さ
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