四十 孤独の先
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対して、サスケは自分について行こうとするサクラを突き放したかった。決して嫌いだからではない。
サクラが抜け忍になってしまったのは己が原因だと理解していたからだ。
特に今のサクラは危うい。早々にサスケから引き離され、大蛇丸の傍で一時期修行していた彼女は、大蛇丸よりの思考になっている可能性がある。
だからこそ、サスケはこの機会を逃すわけにはいかなかった。
「私にとって、サスケくんがいないことは孤独と同じ!!同じなの!!」
孤独の辛さをあの出来事で教えてくれたサスケを、サクラは涙に濡れた眼で見た。
翡翠色の瞳から、サスケは顔を逸らす。
「だから、私も一緒に…!!」
「やっぱりお前…うざいよ」
そこで初めて、サスケはサクラの顔を見た。
ハッと息を呑んだサクラの代わりに、いのが激昂する。
辛辣な物言いに、彼女は吼えた。
「サスケくん!!アンタねぇ…っ!」
同じ、恋の好敵手だからわかる。
サスケへのサクラの想いをひしひしと感じ取っていたいのは、怒りに任せて地を蹴った。
自分へ殴りかかろうとするいのをチラッと視界の端に捉えて、サスケは口許に弧を描く。
この時を待っていた。
そう────サクラが木ノ葉へ戻る機会を。
「────サクラ、お前は蛇より暁より、木ノ葉が似合う」
刹那、サクラは首元に衝撃を感じた。
「あ…」
「サクラ…ありがとう」
瞬間的にサクラの背後へ回り、その首の根に手刀を落とす。
斬られたわけでも骨を折られたわけでもないが、昏睡するには十分な威力。
身体の自由が利かなくなり、意識を失ったサクラを、サスケは自分を殴ろうと拳を振りあげたいのに向かって放り投げた。
「………っ、」
いきなり降ってきたサクラのぐったりした身体を、いのは慌てて抱きとめた。
拳をおさめた彼女は当惑気味に、サスケとサクラに視線を交互に向ける。
気絶させる寸前、サスケは確かにサクラにお礼を述べた。
その上で彼女の意識を刈り取った。
それが意味する答えをその場の面々の中でしっかりと把握できたのは、サスケの真実を唯一知るシカマルだけだった。
「……アイツ…」
相容れない道にあえて突き進む。
自ら茨の道へ、自ら孤独になるサスケの真意を、シカマルは悟る。
大蛇丸に続いて、今度は“暁”に潜入するつもりなのだ。
それ故に、サクラをこれ以上深入りさせないように、あえて気絶させたのだろう。
木ノ葉へ連れ戻させる為に。
サスケから意味深な視線を受け、シカマルはヤマトやいの、そしてナルに気づかれないよう、人知れず頷いた。
自らの目的を把握してくれた聡明な相手に、くっと唇を弓なりに吊り上げると、サスケは背中を向ける
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