四十 孤独の先
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「「「「「な……っ!!??」」」」」
今度こそ、五人は言葉を失った。
この場で唯一、サスケがスパイである事実を知り得るシカマルも、険しい顔で自分を凝視している。
大蛇丸を倒したから、『暁』に入る。強くなる為に木ノ葉の里を抜けて、大蛇丸の許へ向かったサスケ。
大蛇丸より自身が上回ったから、更なる強さを求めて“暁”に入ろうとするサスケの行動原理はわかる。
もっとも、そう思うのは、サスケが潜入捜査をしていたという事実を知らない者だけで、スパイだと知っているシカマルにとってはサスケの本意に勘づいていた。
シカマルはサスケを見上げる。
周囲の視線を一身に浴びながらも、彼は涼しい顔でその場の面々の顔を眺めていた。
隣で愕然としていたサクラが我に返ったかのように、サスケに詰め寄る。
自身の服袖を縋りつくように握り締める彼女に、サスケはチラッと流し目で見やった。
「大蛇丸様を倒した?サスケくんが?」
「そうだが?」
簡潔に肯定を返したサスケに、サクラはうろたえる。
けれど、目まぐるしく成長しているサスケの強さに思うところがあったのか、彼女は納得するも、すぐさま質問を重ねた。
「で、でも…“暁”に行くって…そんな、どうして急に?私…何も聞いてな、」
「……なんでお前に話さなきゃいけないんだ?」
疑問に疑問を返す。
言葉を遮られた上、サスケの冷たい眼差しを前にして、サクラは尻込みした。
それでも胸の前で手を握りしめながら、「どうして…」とわなわなと唇を震わせる。
「どうしていつも何も言ってくれないの?いつだってサスケくんは…私に何ひとつ話してくれない…」
サクラに何ひとつ、何も言わず、木ノ葉の里を抜けたサスケ。
相談せず、周囲にもサクラにも誰にも話さず、大蛇丸の許へ向かったサスケを追い駆け、同じく里を抜けた彼女は、聊か非難めいた眼でサスケを見つめた。
共に抜け忍になった身。
家族も友達も捨て、愛するサスケだけを選んだというのに、大蛇丸の許にいても彼はサクラに相談ひとつしない。何も言ってくれない。
今回だってそうだ。
サスケが大蛇丸を倒した。
その事実は衝撃的だが、なにより“暁”に行く等という話を初めて耳にしたサクラは、サスケがどんどん自分から離れてゆく錯覚に陥って、彼に縋るような視線を向ける。
「サクラ…前から思っていたが、いちいち俺に構うな」
「……私ってサスケくんに嫌われてばっかりだね」
突き放すような物言いに、サクラは苦笑した。
あの時から変わらない関係。
ずっと傍にいたのに、木ノ葉の里を抜けて、皆を裏切る行為までしたのに、サスケの心に寄り添えられない自分がなにより彼女は腹立たしかった。
「憶えてる?下忍になっ
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