第10話 なのはの日記+α(高町なのは@6歳)
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回する予定の話と隔絶した、憂鬱な『闇の書』の話を続ける心算もなかった。
そのため率直に本題を切り出すことにした士郎。
「――うん、それで、今回の話なんだけどね。
藤原君、うちの子にならないかい?・・・養子縁組、この言葉の方が藤原君には通じ易いかな?」
「・・・え、と、、、とてもありがたいお話ですが、何故、でしょうか?」
『闇の書』関して何か問題が発生したのか――と心を引き締めていた高貴にとって、その士郎の言は意外に過ぎ、畢竟それは高貴へ混乱をもたらした。
どうして三人の子――恭也、美由希、そして士郎と桃子の間に生まれたなのは――がいるのに更に養子をとる必要があるのか、といったような意味の質問だったが、曖昧な発言になってしまい、案の定、士郎には少し違った意味で伝わった。
「うん、実は初めて会った時から、何れうちの子に、という直観のようなものを抱いていてね。
なのはがとても良く懐いている様だったし、何より、君の妙に達観したような目が、大人びた振る舞いが、気になったのさ。
5歳の子供がそういう目を、振る舞いをしている、せざるを得ないということが何だか悲しくてね。
――もっとも、君から見ればこれもまた大人のエゴなのかもしれないけどね。」
「・・・そんなことは、ないです。」
「ありがとう。
それで、ここ1年ほど交流を持って、恭也や美由希とも良い具合に距離が近付いたんじゃないかと思ってね。
だから今日このタイミングで話をすることにしたのさ。ああ、桃子には初めからそうなるかもしれないという話をしてあるんだ。
君ならば歓迎だと言っていたよ。」
『闇の書』問題でこの話が遅れていたのは動かし難い事実である。
しかし、その分時間をかけて高貴が歳の離れた恭也や美由希と精神的な距離を縮め、互いに親しみを持つに至ったと言えるのもまた、確かである。
物は言い様、というより、これはおそらく士郎自身も結果的にそうなって良かったと思っているに違いない。
やはり高町夫妻にとって、高町高貴の誕生はある程度は既定の路線だったのだろう。
そもそも御神流は誰かれかまわず伝授することが許されるほど軽い剣術流派ではないのだから。。。
高貴もまたその事実――修行の日々は、士郎と初めて顔を合わせた日から始まった――に思い至り、深く深く頭を下げた。
高町夫妻が見せてくれた思慮の深さと誠意の重さが、自然と高貴にそうさせた。
「このお話、ありがたく受けさせていただきます。
この御恩は、何時か必ずお返しします。」
高貴はじっと士郎に目線を合わせ、胸に溢れる感情をそのまま誓いの言葉として口にする。
この誓いは、生涯決して違えられる事があるまい――同時にそんな神託めいた確信をも抱く
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