暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第51話:伝わる想い、伝わらぬ想い
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な微笑みに、颯人も歯を見せて笑い返す。

 そんな恋人同士の様子を目の前で見せられ、響はまるで中てられたかのように頬を赤く染めた。

 一方翼は、2人の様子に少し赤くなりながらも面白くなさそうに頬を膨らませると、奏に抱き着く颯人を引き剥がそうとした。

「颯人さん! 幾ら何でも近すぎです!」
「ちょっ、翼!?」
「お? ヤキモチかい翼ちゃん?」
「うっ!? え、えぇそうです! 私の前で奏を独り占めする事は許しません!」

 奏を取り合ってもみくちゃになる3人の様子を、響は暫く眺めていた。一瞬止めようかとも思ったが、何だかんだで楽しそうだったので止めようと言う気もすぐに失せる。

 何より、先程見せつけられた颯人と奏の様子にまだ口の中が甘ったるかった。

「ブラックコーヒー買ってこよぉっと」

 それは些細な、平和な一時であった。




***




 二課の装者と魔法使いが束の間の平穏を噛み締めている頃、ウィズから漸く解放された透とクリスは新しい隠れ家にした廃屋の中で真剣に顔を突き合わせていた。

「フィーネに…………会いに行くぞ」

 クリスのその言葉に、透は一瞬目を見開いたが直ぐに表情を引き締め小さく頷いた。
 彼も、そうする事の必要性を考えていたからだ。

「このまま逃げ続けても埒が明かねぇ。こっちからフィーネの所に殴りこんで、ケジメをつける!」

 正直に言って、それはかなり危険な判断だろう。敵はフィーネと彼女が召喚するノイズだけではない。彼女に協力する魔法使い達も居るのだ。

 ネフシュタンを纏ったフィーネとノイズ、そして場合によっては雑魚だけでなく幹部クラスの魔法使いまで相手にしなければならない可能性がある。普通に考えれば自殺行為だ。

 しかし、2人だって以前逃げ出した時とは違う。今の2人のコンディションは万全だ。多少の不利は跳ね除けられると言う自信があった。

 結果がどうなるか分からないが、フィーネのアジトに殴り込み何かしらの決着をつけ…………透はそこで、その後の事を考え首を傾げた。決着がついた後、クリスはどうするつもりなのか?

 透がその疑問を目で問い掛けると、彼の疑問を察したクリスは何かを堪える様な顔で俯いた。

「それ、は…………まだ、考えてない。いや、少し考えさせてくれ」

 本当はクリスも、透の言う通り二課と合流した方が良い事は理解しているつもりだった。響なんかは純粋に善意でクリスを助けようとしてくれたし、通信機越しでしかないが弦十郎は真剣にクリス達の身を案じてくれている。
 彼らに協力し、襲い掛かってくるだろう敵の魔法使いを迎え打つのが最善だと言う事は分かっていた。

 分かってはいたが、過去に両親を失った事と大人の事情に
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