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俺様勇者と武闘家日記
第1部
アッサラーム〜イシス
再びピラミッド探索
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 ここでまた他の呪文を唱えられたらそれこそ終わりだ。一気に決着をつける!
 意を決して、私は起き上がる大王ガマの懐に潜り込もうと、走り出した。体は次第にいつもの軽さを取り戻しつつあり、余裕で間に合うと予測した。
 だが、あろうことか魔物は再び呪文を唱えようと、口を大きく開け始めたではないか。
「やめてーー!! 呪文唱えないでーー!!」
 私は思わず大声で叫んだ。その声にビックリしたのか、大王ガマは唱えかけてた呪文を中断した。
 この千載一遇のチャンスを見逃すはずもなく、私はこれで最後と言わんばかりの一撃を与えた。
 魔物はそれきり動かなくなり、静寂と寝息だけが聞こえる。
「ナギ、起きて! もう魔物はいないよ」
 彼のもとに駆け寄り揺り起こすと、ゆっくりと彼の目が開いた。すると、
「ビビアンちゃん、オレと付き合ってくれ!!」
 いきなりそう叫んだかと思うと、そのまま私に思い切り抱きついてきたではないか。
「ひゃあああっ??!!」
 ビックリした私は、思わずナギの顔面に正拳突きを放ってしまった。彼は反対側の壁まで勢い良く吹っ飛んだ。
「わああああっ、ごめんナギ!!」
「……? あれ、なんでオレこんなに顔腫れてんだ?」
「あ、うん、えーと、ナギが大王ガマに眠らされてる間に、攻撃が当たったみたいだね」
 私は冷や汗を拭いつつ、適当に誤魔化した。うん、嘘は言ってないよね、たぶん。誰の攻撃かはいってないけど。



 戦闘を終え、笑いぶくろが持っていたお金を拾い、再度奥へと進む私たち。念のためナギに『しのびあし』をやってもらい、魔物との遭遇を減らす。
 しばらく歩くと、やがて行き止まりに着いた。正面の壁には太陽を象った、小さなレリーフのようなものが横に二つ並んでいる。太陽の丸い部分だけがなぜか突出しており、よく見るとレリーフと壁の間にはわずかな隙間がある。単なる壁の装飾と言うわけではなさそうだ。
「なんだろうこれ?」
 ナギも訝しげにそのレリーフのようなものを眺める。慎重に調べてから、少しずつ触ってみると、微かに動く気配がした。
「もしかしてボタンじゃねえの?」
 『ボタン』という言葉を聞いて、ある光景が頭の中で浮かんだ。それは、イシスのお城の中で女の子が歌っていた光景だ。
 確か女の子達が歌っていた歌詞に、『まんまるボタン』がどうとか言ってたっけ。そのあとは、えーと……。
――まんまるボタンはお日さまボタン。小さなボタンで扉が開く。東の西から西の東へ。西の西から東の東。
「あーーーーっ!!」
 思い出してから、まるでパズルのピースが嵌まったかのような感覚に陥り、思わず大声を上げる私。
「なんだよお前、さっきからうるさいぞ」
「ねえ、確かロズさんのところで見た本に、同じような太陽の絵描いてなかった!?」
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