第1部
アッサラーム〜イシス
再びピラミッド探索
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声を上げると、三人は訝しげな顔を向けた。喜んでるのは私だけみたいで、なんだか気恥ずかしくなった。
二階に上がると、またも細長い通路になっていた。しかも一階よりさらに複雑に入り組んでいる。幸い落とし穴はないのだが、進む度に十字路に分かれ、その先にさらに十字路が……という具合に、延々と分岐が続いていたのだ。
「あー、くそっ、めんどくせー!!」
ナギがイライラしながら不満を吐き捨てる。先頭を歩くユウリも心なしか不機嫌そうだ。
けど確かにこう同じ道が続くとうんざりしてくる。何か地図でもあれば――。
「あっ、そうだ!」
「? どうしたの、ミオちん」
私は今朝の出来事を思いだし、立ち止まった。三人は私が急に声を上げたので、何事かと一斉にこちらを見る。
私は鞄から、今朝準備しておいた羊皮紙と木炭を取り出した。そして羊皮紙を地面に置き、木炭で今まで通った道を順に描いてみる。
「すごーい、ミオちん! そーやって描いたらわかりやすいね!」
そう、昨夜思いついたある事とは、考古学者のロズさんが使っていたこの木炭と紙を使えば、探索しながらでも地図をかけるんじゃないかということだ。
今朝、迷惑とは思いつつも、私は一人お城に行き、門兵に事情を説明した後、離れで寝泊まりしていたロズさんの元へと向かった。寝ていたところを起こされて寝ぼけ眼のロズさんだったが、事情を説明すると快く話を聞いてくれた。
自分もピラミッドに関する情報は欲しいそうなので、情報を提供してもらう代わりに、仕事で使ってる木炭をいくつかあげると言ってくれた。この木炭、なんとロズさんの手作りだという。ペンだとコストがかかったり、間違えて書いたときに消すことができないので、代わりに何か使えるものはないかと考えたらしい。
ともあれ、その木炭のおかげで、こうしたダンジョンなどの複雑な地形もその場で地図に起こせるようになったのだ。ロズさんには感謝の言葉しかない。
「それにしてもよく思い付いたな、そのアイデア」
私が描いてる紙にカンテラを照らし、見えるようにしてくれているナギが感心しながら言う。褒められ慣れてない私は、ただ照れ笑いを浮かべるしかなかった。
「本当に間抜け女か? 熱でもあるんじゃないのか?」
ユウリの憎まれ口に反応してしまい、むっとした私は彼の方を振り向く。
「もう! 失礼じゃんそれ!」
さすがに気分を害され、反論する私。たまには私だって役に立つ時だってあるんだから!
なんだかんだで、今までたどってきたルートを描き終え、照らし合わせてみる。その上で、まだ通っていないルートを探索することにした。
「ここは行き止まり、ここはT字路……。あっ、ナギ、このフロアには宝箱っていくつあるの?」
「えーと、ここにはないな」
「ええっ?!」
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