第1部
アッサラーム〜イシス
宝箱と罠
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もなくうなずきあい、ユウリの呪文で町へと戻ることにした。
結局宝箱を一つも見つけることが出来ず、イシスに帰って来た。その夜、酒場で食事をすることにし、明日の予定をたてることにした。
「結局さっき見つけたので宝箱全部かな」
「いや、まだ入り口から見て正面側の通路は調べてねえ」
「でもでも、あの建物っておっきいよね? 階段とかあるんじゃない?」
「階段か……。とりあえず、その探索してない通路を調べてみるぞ」
大皿に乗ったスモークチキンをかじりながら、ユウリが言った。先ほど酒場のマスターから借りた羊皮紙とペンを広げ、紙に地図を描く。
「……これが一階だとして、俺たちが落ちたのが地下。ここから上に上がる階段がここで……」
と、みるみるピラミッド内部の地図が出来上がる。なるほど、こうやって地図にして描けば、自分達がどこに行ったかが一目でわかる。
わからないのはさっき言った通路のみだが、建物全体の規模から察するに、そこから先も何があるかわからない。
パンとシチューを掻き込みながら、ナギが十字路のところに指を置く。
「ひゅーひおのほほーおはいほいはほーはひーへ」
「ごめんナギ、飲み込んでから話して」
まあ、なんとなくだけど、『十字路のところの罠も描いといた方がいいんじゃないか?』とか言ったんだと思う。たぶん。
私はサラダを口に運び、ふと思い出した。
「そういえば、一階では呪文が使えたけど、なんで地下では使えなかったんだろ?」
「さーな。曲がりなりにも墓だし、なんか呪いでもあるんじゃねーの?」
「やだ、怖いこと言わないでよ!」
お化けとか幽霊が苦手な私は、ナギが変なことを言うので急に怖くなってしまった。
「今はそんなことより魔法の鍵を探すことが先決だよ! 地下のことはとりあえず今は放っておいて、明日は残りの宝箱を探しにいこうよ!」
「お前が言い出したんだろ」
ユウリが冷静に言い放つ。その横で食事を終えたナギが一息つくと、
「でもよ、今日だけであれだけ罠があったんだぜ? 明日になったら忘れてるぞ、きっと」
確かに、こうして紙に描いていけば確認することは出来るのだが、探索しながら地図を作るなんて、とてもじゃないが、出来るわけがない。
ん、待てよ…?
私はあることを思い付き、ユウリに尋ねてみる。
「あのさ、明日ピラミッドに行く前に寄りたいところがあるんだけど、戻るまで待っててもらっていい?」
「オレは別にいいけど、どこに行くんだ?」
ナギを含め三人が一様に私に注目する。私は今思いついたことを説明した。
「……なるほどな」
納得してくれたのか、リーダーのユウリは意外にもあっさり了承してくれた。ただ、少しでも時間に遅れたらおいてくぞ、と言い残してくれたが。
「それなら今日は早めに宿に
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