第1部
アッサラーム〜イシス
宝箱と罠
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つぶつと呟く。
「わ、私も次は絶対気を付けるよ」
まさかピラミッドに入ってすぐにこんな恐ろしい罠を目の当たりにするとは思わなかった。半端な覚悟で来たら、すぐに命を落としてしまうかもしれない。私は上ずった声を出しながらも体を奮い立たせ、先に進む決意を固めた。
再びピラミッドの中へと入った私たち。先程の落とし穴を警戒し、進めそうな道を地道に探し続けた。そして念のため、これまたナギがレベルアップして得た特技『盗賊の鼻』で、この階の宝の数を調べることに。するとこのフロアには、1つだけお宝があることがわかった。
「ホント?! じゃあそれが魔法の鍵なのかも!」
「ああ。だから今から宝箱がどこにあるか探すぞ。ただ、宝箱があるからってむやみに開けたら危険だから、まずオレに教えてくれ」
ナギによると、この『盗賊の鼻』の能力、あくまで『宝』の数がわかるだけで、『宝箱』の数がわかるわけではないのだ。宝箱の数と実際に入っている宝の数が違えば、どこに何があるのか実際に開けてみないとわからない。
まずは、ユウリが落ちた穴のある十字路まで戻る。前と左右の三方にある通路のうち、左側の通路を調べることにした。
「この先に、開けた場所がありそうだな。もしかしたら何かあるかもしれないから行ってみようぜ」
夜目の利くナギにしたがい、あとに続く私たち。落とし穴の場所は壁づたいに歩き、一歩一歩ゆっくりと足を下ろしながら進む。かなり時間のかかる歩き方だ。
やがて、小部屋のような場所に出ると、目の前に堂々と小さな宝箱が数個並んであった。いかにも取ってくださいと言わんばかりの存在感を放っている。
「ねえ、これって、この中のどれか一つに宝が入ってるってことだよね?」
「ああ。けど、明らかに怪しいよな」
私とナギが交互に顔を見合わせる。ユウリも眉間に皺を寄せ、どうするべきか決めかねていた。
「『インパス』が使えれば、罠かどうかわかるんだがな」
『インパス』って?」
「魔法使いが使う呪文の一つで、宝箱に何が入ってるか知ることができる。青なら宝、赤なら魔物という風にな」
「へえ〜! 便利な呪文だね」
「レベル20前後でないと習得出来ないけどな」
うわあ、それじゃあ結構高レベルの呪文ってことか。今の職業でも一つレベル上げるだけで大変なのに、魔法使いでレベル20まであげなきゃならないなんて、よっぽど才能がなきゃできない。
と、話が脱線してしまったが、とにかく私たちは、この怪しい宝箱をどうするべきか悩んでいた。悩んだ挙げ句、ユウリは意を決したのか宝箱を開けることにした。
「おい、バカザル。罠かどうか確かめろ」
「はいはい。わかってますよ」
ぶつくさ文句を言うナギだったが、その手際はさすがだった。鍵穴や箱のわずかな隙間を念入りにチェックし、反応を
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