暁 〜小説投稿サイト〜
レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その十二

[8]前話 [2]次話
「まさにな」
「左様ですね」
「己は手を汚さずに相手を陥れる」
「それは餓鬼の所業です」
「これ以上はないまでに浅ましい行いです」
「だから噂を流す奴こそだ」
 何かをすると言われている者達よりもというのだ。
「俺は憎む、そしてだ」
「罰する」
「そしてですね」
「それを天下に知らしめる」
「そうされますね」
「そうする」
 こう言ってだった。
 英雄はこの日も遊んだ、そうして数日過ごしていると。
 甲斐のほぼ全ての城や砦が降った、そのうえで。
 その話を聞いた甲府城もだった。
「そうか、遂にか」
「降るとです」
「言ってきたか」
「はい」
「わかった、なら大名にはな」
 その彼にはというと。
「この本陣まで来てだ」
「そのうえで、ですね」
「俺の前でな」
「降るとですね」
「言う様に伝えろ」
「わかりました」
「誰も命は取らない」
 英雄はこのことは強く言った。
「ここで降ったからな」
「そうされますか」
「そしてだ」
 英雄はさらに言った。
「もう一つある」
「といいますと」
「地位もだ」
 これもというのだ。
「そのままでいい」
「そちらもですか」
「見たところ甲斐はよく治められている」
 これまで見てきたのだ、国の状況も。
「田畑も町もよく堤や道も整っているな」
「はい、確かに」
「よい状況ですな」
「見てみますと」
「どれもが」
「しかも民の家は大きいしだ」
 そしてというのだ。
「葬式も見事だ」
「それだけ豊かということですな」
「民が大きな家を持ち立派な葬式をやれる」
「それだけの余裕がある」
「甲斐は山国で豊かにしにくい筈だが」
 それがというのだ。
「田畑を整え多くの副産物も作らせてな」
「豊かにしている」
「そうした政治を行っているので」
「それで、ですか」
「政の腕にな」 
 それにというのだ。
「戦で釣り野伏せも仕掛けたな」
「はい、こちらは見破りましたが」
「そして備えて難を逃れましたが」
「それもしようとしましたな」
「そこも見るとな」
 戦のこともというのだ。
[8]前話 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ