第二章
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「沙耶ちゃんも幸せそうだしな」
「うん、そうでしょ」
「ああ、それで今度の日曜だけれど」
「映画館ね」
「そこに行こうな」
「それじゃあね」
沙耶は笑顔で応えた、だが。
デートの待ち合わせの時沙耶は猪木に着てきたピンクのワンピースを見せながら猪木に対してこんなことを言った。
「昨日チェックしたら毛だらけだったのよ」
「ああ、かずくんのせいで」
「うん、服のある部屋にもよくいてこの服にもまとまりつくから」
「それでか」
「昨日毛取ったのよ」
「猫の毛ってつくからな」
猪木は落ち着いた顔で応えた。
「どうしてもな」
「そう、それでね」
「それは仕方ないな」
「ええ、けれどね」
沙耶はここでこうも言った。
「かずくん私がローラーで服の毛を取っていたら御免って謝ってくれたのよ」
「猫が喋ったんだな」
「そう、鳴いてね」
「まあそうだろうな」
沙耶からこうした話もよくきいていたので冷静に返した。
「あの子はな」
「だから許してあげたのよ」
「叩いたりしなかったんだな」
「悪いことしたら叱るけれど」
それでもというのだ。
「叩いたりしないよ」
「そうなんだな、まあ服も奇麗になったし」
「よかったよね」
「じゃあ映画館行こうか」
「これからね」
二人で笑顔で話してだった。
映画に食事に買いものも楽しんでだった。
最後に沙耶の部屋で飲むことにしたが。
当然そこには沙耶の愛猫もいた、その丸々と太った猫は玄関にちょこんと座って待っていてだった。
沙耶に対して一声鳴いた。
「ニャア」
「只今、かずくん」
「この子帰ってきたらいつもここにいるな」
「私を待ってくれてるのよ」
「そうなんだな」
「ええ、じゃあかずくんにご飯あげて」
そしてというのだ。
「飲みましょう」
「それじゃあな」
「これからね」
明るく話してだった、沙耶は実際にかずくんにご飯を上げてから家のリビングで井上と共に飲みはじめた。
二人共缶のリキュールを飲んで柿の種やスナックを食べながら談笑も楽しんだ、その中においてだった。
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