第一章
[2]次話
貴公子との生活
大西沙耶、薄茶色の髪の毛を肩の長さで切り揃えたおっとりとした顔立ちで大きな垂れ目に細い眉を持つ彼女はOLをしている、背は一五七位で程々のスタイルだ。彼氏は同じ会社の同期の猪木貫太郎といい黒髪をショートにしていて面長の少しきりっとした顔をしている。背は一七二位ですらりとしている。
その彼にだ、沙耶は今日もスマホの画像を見せて話していた。そこには白地で左耳とその周りに尻尾と腰が茶色の豊かな毛で大きくしかも丸々と太り首にはピンクの蝶ネクタイの猫がいた。
その猫の画像そして動画を猪木に見せつつだ、沙耶は話した。
「今朝のかずくんまたね」
「ベッドの横にいたんだな」
「そうなの、夜は別の場所にいたのに」
それがというのだ。
「起きたらね」
「毎朝ベッドの横にいるな」
「そうなのよね、それで会社に行く時にね」
「沙耶ちゃんが家を出る時にか」
「この世の終わりみたいに鳴いて」
「それも毎朝だよな」
「そうなのよね」
さやはのろけた顔で話した。
「これがね」
「成程な、しかしこの子な」
猪木は沙耶が見せる猫の画像や動画を見て言った。尚もうその猫の性別は雄だと聞いていて知っている。
「ふてくされた顔のこと覆いな」
「そう?」
「五月蠅いなっていう顔でな」
それでというのだ。
「いるよな」
「そうかしら」
「ああ、何かな」
「私はそうは思わないけれど」
「美形だっていうんだな」
「蝶ネクタイが似合うね」
そうしたというのだ。
「美形、プリンスでしょ」
「貴公子か」
「そう思うでしょ」
「まあ沙耶ちゃんがそう思うならな」
猪木はこう言うに留めた。
「そうだな」
「何か引っ掛かる言い方ね」
「そうか?まあ猫好きなのはいいしな」
悪いことでないというのだ。
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