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魔王の友を持つ魔王
§10 都内決戦
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、焦点はそこなんだよなぁ」

 とりあえず状況把握、と黎斗は両者をよく見ることのできる位置に移動する。

「……護堂、また女の子連れてるし。なにもこんな非常時にハーレム建設しなくても。事態の深刻さわかってんのか? 人が必死に被害を抑える結界を都内全域に張っている時に…… なーんか馬鹿らしくなってきた」

 首都が壊滅しそうという話が出ていることを近所のタマ(三歳 ♂ 三毛猫)からの連絡で察知した黎斗は急遽行動を変更、護堂の援護より先に暴風雷雨の抑制結界を見抜かれないように苦労して張ってきたのだ。護堂が秒殺されないことを前提として、それでも全力疾走でやってきたというのに当の本人は新たな美少女を捕まえている。こっちの必死の努力を返せと叫びたい。人生不公平も甚だしい。

「あーあー。やってらんねー。」

 氷点下の瞳で護堂を眺める黎斗。状況は依然不利なのだが光る剣で狼に変化した男を切り裂いたし、銀髪&エリカがサポートしてるし、危機的状況に陥ることはないだろう。あの剣は反則と思えるほど強い。 

「あとはあの死者をなんとかできればい……ゑ?」

 いいんだけどね、と続けようとして絶句した。護堂が再び光る剣を持っている。あの剣は一回ポッキリではなかったのか!

「はぁ!? ひょっとして条件は一日一回、じゃなく一つの神に一回、とかそういうオチ!? 意味わかんねぇぞ!!」

 周囲に人が居ないのをこれ幸いと喚き散らす。足元に合った空き缶が黎斗の蹴りを受けて彼方まで吹き飛ばされ、小石は遥か上空に打ち上げられた。本当に護堂はいったい何なんだ。もっとも、彼も疲弊が凄いように見える。傍目にわかるほど息が荒い。

「もっともこれが朝飯前だったらそれはそれで困るんだけど。護堂のあの疲弊具合じゃこれ以上は厳しいか?」

 黎斗の言を証明するかのごとく、男の一方的な攻撃が始まる。稲妻を落とし、暴風をぶつける。銀の少女も、エリカも、抗うすべなく吹き飛ばされる。護堂も反撃に移れる様子が無い。今回はここまでか。

「なんかこの人長年現役やってそうなオーラだしてるしね。生涯現役じいさんの相手が今の護堂じゃムリなのは当たり前か」

 護堂が斃せるならそれでも良いと思ったが、今の彼ではあの男は倒せない。ならば、自らがでる他ないか。覚悟を決め、乱入しようとして足が止まる。護堂の気配が、変わった。

「なんか雷撃使い始めやがったし……」

 突然稲妻を打ち始めた彼をみて、驚くより先に呆れてしまう。窮地に能力覚醒とか主人公みたいなことをする奴ではないか。もっとも今はまだ互角だがいずれは押し切られるだろう。おそらくあの男は覚醒すれば勝てるほど甘い相手では、ない。

「っーかさっきからこの辺ノイズが多いな。誰かが誰かになんか話しかけているのか?」
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