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魔王の友を持つ魔王
§10 都内決戦
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へ疑問を投げかける。

「残念ながら全く何も。こっちが知りたいくらいですよ。魔王なんて大物の誕生がここまで秘匿されてるってこと自体が異例中の異例だと思いますが。存在を隠す旨みなんてないでしょうし」

「組織の言いなりになるカンピオーネなんて未だかつて聞いたことが無いわ。だからこれは本人の意思よ」

 本人の意思、と断定したエリカにリリアナは懐疑的な視線を向ける。

「隠遁生活をしている方が居られる、と? 賢人会議にすら察知されないなんていったいどのような行動をとればよいと思う? アイーシャ婦人ですら」

「落ち着いてリリィ。別にそれ以外にも方法はあるわ。たとえば、賢人会議発足前に権能を簒奪し直後に隠遁とか」

 雪崩のごとく言葉を吐き出すリリアナをエリカは諭すように語り掛ける。

「……我らがまつろわぬ神の出現を把握する前に簒奪した、ということか」

 エリカの澄んだ瞳に彼女が言わんとすることを察し、リリアナは言葉を吐き出した。

「なるほど、それなら可能性はありますねェ。だとしたらその方、被害を隠し切ったワケですから凄腕ですね。組織が絡んでいれば情報は漏れるでしょうし単独ってところですか。……今回の事態に介入してくれないかなァ」

 甘粕は切実な表情で、神殺しの来臨を神に祈った。目を開ければ少女達がヴォバンに挑まんと動き出す。見送ろうとした矢先、電話が入る。嵐の拡大に歯止めがかかったらしい。護堂との戦いを前に呪力の放出を控え始めたようだ。なんという僥倖。

「御武運を」

 声にならないその呟きとともに改めて彼女達を見送る。自分の実力では歯が立たない。足手まといもいいところだろう。青年は神殺しの少年と彼に仕える騎士達の勝利を願う。





 闇夜を疾走する。周囲に人影は皆無であるが、認識阻害は怠らない。

「なんかアテナの時と似てるな」

 漠然と思ったことを口にする。あの時との最大の違いは黎斗が被害を被ったか否か、ということだろう。水を回避する古い呪法、”避水訣”により雨は彼に当たらない。勝手に避けて落ちていく。流石に暴風は抑えきれず若干速度が鈍るが、その程度なんの障害にもならない。

「風除け呪文習っとけばよかった」

 そう呟く彼の表情は、厳しい。今回参戦したら、今までの苦労が全ておじゃんになってしまう。護堂にバレてしまえば、これから先は護堂単独で戦う機会を奪ってしまうことになるだろう。それは避けたい。しかし、参戦しなければ首都壊滅が時間の問題になってしまう。最悪の場合、護堂死亡のオマケつきで。それは絶対に阻止せねばならない。個人的には恵那の分のお返しもしてやりたいのだがそんな私情を挟める余地はなさそうだ。

「僕が影から援護したとして護堂にあの男を倒せるか。つまるとこ
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