第一章
[2]次話
ラーメン屋を救った猫
都内でラーメン屋を営んでいる福本健太は店の裏に妻の信代を呼んでこっそりとまだ非常に小さい猫を見せて話した。
「この子だけれどな」
「猫ちゃんじゃない」
見れば顔の下と腹、尻尾と足の先が白いダークブラウンの毛の猫だ、生後一ヶ月程でぐったりとして動かない。
「どうしたの？」
「さっき店の裏で見つけたんだ」
「そうだったの」
「どうも野良猫でな」
健太はさらに話した、眼鏡をかけた四角い顔で茶色がかった髪の毛で背は一七〇程でがっしりとした体格だ。三十歳で顔にはやや皺がある。
「烏に襲われたらしくて」
「身体中傷だらけね」
「それで今拾ったけれどな」
「すぐに病院に連れて行きましょう」
信代は夫に血相を変えて言った、黒髪を後ろで束ねた面長の顔である、はっきりした目で顔にはそばかすがある。背は一六六位ですらりとしたスタイルだ。
「そうしましょう」
「今お店休憩時間だしな」
「ええ、お店のことは私がするから」
「悪いな、じゃあな」
「任せてね」
「すぐにこの子獣医さんに連れて行くな」
「そうしないと危ないわね」
妻もこう言ってだった。
健太は猫をすぐに獣医さんに連れて行った、だが。
店に帰って来て妻に暗い顔で話した。
「獣医さんに助からないって言われたよ」
「そうなの」
「ああ、衰弱しきっていてな」
それでというのだ。
「身体中傷だらけでな」
「助からないって言われたの」
「ああ」
妻に暗い顔で話した。
「本当にな」
「そうなの」
「もう処分するから渡せとかな」
「酷い獣医さんね」
「二度と行くか」
健太は怒った顔で言った。
「あんなところは」
「獣医さんも色々ね」
「ああ、悪い人だっているな」
「そうね、それでこの子は」
「もうこうなったら俺達でやろう」
健太は妻に真剣な顔で言った。
「この子を助けよう」
「そうね、手当してね」
「ミルクもあげてな」
「そうしてね」
「この子助けよう」
「うちのマンションペット可だし」
「何があっても助けるぞ」
健太は信湯に強い声で言った、そしてだった。
その顔の形が頬の毛が長くなっているので皿の様になっている小猫雄とわかった彼を助けて育てることにした。
傷の手当と消毒をしてだった。
ミルクはスポイトで少しずつあげていった、すると。
猫は少しずつ元気になってだ、やがて歩ける様にもなった。そして成長して身体も少しずつだが大きくなった。
その猫にだ、夫はこう名付けた。
「タケちゃんでいいか」
「名前ね」
「ああ、思い付きで付けたけれどな」
それでもというのだ。
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