私、小っちゃくなっちゃった!
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院に向かったの」
「うんうん」
それまでは何も不自然はない。ハルトがそう思っていた時。
「ココアちゃん、意識はっきりしてる全校生徒の前でチノちゃんに抱きついたらしいよ。頬ずりいっぱいしながら」
「うわぁ。思春期中学生になんてことを」
すると、ココアが涙目でこちらを見上げた。
「だって! チノちゃんのことが心配だったんだもん!」
「はいはい……それで? それだけ?」
すると、可奈美の目がハルトの知らない人種の目に変わった。
噂と恋愛ネタが大好き(偏見)な、女子中学生の目だ。
「これは昨日マヤちゃんから聞いた話なんだけど……ついでに本人にも確認しちゃおうか?」
「何?」
ココアがこちらから可奈美へ振り向く。
「ココアちゃんが病院のど真ん中で、『チノちゃんは私の可愛い可愛いラブリープリチーな妹なんだから!』って大声で宣言したって本当?」
「うわぁ……保登さんひくわー」
ハルトは体の重心をずらす。支えを失ったココアは四つん這いになったが、それでも「違うよ!」と訴えた。
「私が言ったのは、『チノちゃんは私の可愛い可愛い愛しの大切で大事で家族にも紹介したい一生涯を添い遂げる妹だよって言ったんだよ!』
「「……」」
ハルトは何も言えなくなった。さっきまで面白そうな目をしていた可奈美も、今や目が死んでいる。
そして。
「「保登さんひくわー」」
「なんで?」
奇しくも可奈美と同時に後ずさる。一人取り残されたココアは、まるで子供のように四肢で暴れ出した。
「嫌だ嫌だ嫌だ! チノちゃんがいないといやだ!」
「駄々っ子か!」
「私とは遊びだったの? 私は、もう捨てられるの? 私への愛は、どこ行っちゃったの?」
「俺に言わないでよ! 言い方! 言い方! 話の流れはともかく俺にしがみつくココアちゃんっていう絵面のせいで、俺がココアちゃんを遊び回して捨てたみたいな言い方しないでよ!」
「松菜さんひくわー」
「違うから! ……ああもうっ まだるっこい!」
自棄が回ってきたハルトは、ポケットから新しい指輪を取り出す。まだ使ったことのない新品の指輪をココアにはめ、バックルにかざす。
『スリープ プリーズ』
すると、ココアの体を小さな魔法陣が通過する。ココアはウトウトと、目線をあいまいにしだした。
「あれ? 何か……体が重くなってきたよ……?」
フラフラと体を揺らすココア。そのまま倒れこむ彼女を、ハルトは受け止める。
「疲れて眠くなっちゃったんでしょ? お姉さま」
ハルトは大人しくなった妹離れできない姉をカウンター席に戻す。
「ふう……新しい指輪が役に立った」
ハルトはココアの指から指輪を回収しながら呟い
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