私、小っちゃくなっちゃった!
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「ただいま」
チリンという音とともに、ハルトは喫茶店のドアを潜った。
ラビットハウス。ウサギ小屋を意味する店名は、ハルトの泊まり込みの職場だった。レトロな雰囲気あふれるその店に入れば、カフェインの匂いが鼻腔を駆け巡る。
「お帰りなさい」
そう答えたのは、赤いエプロンを着た少女だった。髪を短く結んだ、健康的な四肢の少女。衛藤可奈美という名の少女は、カウンターに盆を置いた。
「ハルトさん。チノさん、どうだった?」
「元気そうだったよ。メグちゃん……だったっけ? っていう友達も来てたし」
「ああ、私も昨日会ったよ。結構元気そうだったね」
可奈美はニッコリとほほ笑む。
ハルトは彼女の隣の座席に座った。
いつものように、喫茶店ラビットハウスに客足などという耳に優しい言葉は似合わない。いるのはいつものように、店員の可奈美のみだった。閑古鳥が鳴く店内で、ハルトは肘をつく。
「あれ? 今日は休みじゃなかった? どうしたの?」
「ああ……ちょっと、ピンチヒッター」
「ピンチヒッター?」
ハルトの疑問に、可奈美は背後を指差した。ハルトの位置から見て、丁度可奈美と一直線上。カウンター席に、ラビットハウスの制服が仕事を放棄していた。店員業務ではなく、飲んだくれのようにカウンターにうつ伏している。
何事かと回ってみると、そこには仕事を放棄している店員がいた。
「……ココアちゃん?」
保登心愛___通称ココア___は、目をグルグルと回しており、「チノちゃん……チノちゃん……」とうわごとのように呟いていた。
「え? ココアちゃん、どうしたの? ……可奈美ちゃん、これ何事?」
「それがさあ」
可奈美が苦笑する。
「チノちゃんショックだってさ」
「チノちゃんショック?」
「うわあああああああああ!」
突如として、ハルトの死角よりココアが掴みかかってきた。
「チノちゃんがああああ! 私から離れていくよおおおお!」
「なになになに?」
しかもココアは、そのままハルトの首をぐるんぐるんと揺さぶる。女子高生によって殺されかけるという明日の一面を飾らないよう、ハルトは彼女の腕を振りほどいた。
「落ち着いて! どうしたの?」
「チノちゃんが……チノちゃんと会えなくなって、もう一週間だよ!」
「お、おお……お見舞い行ってないの?」
ハルトへの応えは、ココアの泣きじゃくり。とても話にならないので、ハルトは可奈美に助けの視線を投げた。
「えっと……ほら。アサシンの色々が終わってから、チノちゃんたちの学校の人みんな入院したでしょ?」
「あれは結構てんてこ舞いだったよね」
「うん。それで、ココアちゃんそのまま真っ直ぐ学校から病
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