第1部
アッサラーム〜イシス
ピラミッドでの攻防
[3/6]
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
』を使い、周囲を警戒する私たち。どうやら、効果はあったようで、魔物の気配はない。もともといなかった可能性もあるが、なるべくなら無駄な戦闘は避けたい。
だが、最初の十字路に差し掛かろうとしたとき、突如数体の魔物が現れた。
目の前にいるのは、大きなカエルと火炎ムカデ。カエルの方は、ロズさんが以前見たという、『大王ガマ』というやつだろう。火炎ムカデは三体いるが、こっちはこの一週間、夢に出てくるくらい倒してきたのだ。今さら何体も出てきたところで倒すことなど造作もない。
先にムカデを一掃し、初めて見る大王ガマ一体に的を絞る。大王ガマは大きくジャンプしたあと、シーラに向かって体当たりをしようとした。
「きゃあああっ!!」
たまらずシーラは、その辺にあった石ころを拾い、大王ガマに投げた。だが、石は明後日の方へ大きく弧を描く。全く怯むことのない大王ガマは構わずシーラに体当たりを繰り出そうとした。
「シーラ!!」
「ベキラマ!!」
ユウリの呪文が、大王ガマの体を灼いていく。そこへナギが、チェーンクロスでトドメをさした。
「二人とも、ありがとう〜!!」
半泣き状態のシーラだが、男二人は余裕の表情。
「へっへ。これくらい楽勝だぜ」
「調子にのるな、サル」
ともあれ、魔物との戦闘も終え、再び最初の十字路に一歩踏み出した瞬間だった。
「っ!?」
『えっ!?』
一番前を歩いていたユウリの姿が、一瞬にして音もなく消えたではないか。
何事かと私たちは慌てふためきながら辺りを見回すが、彼の姿はどこにもない。そもそも先頭を歩いていたユウリが松明を持っていたので、明かりを失った私たちの目には暗闇しか映っていない。
「待ってろ、もうひとつ松明出すから」
ナギは用意していた予備の松明を取り出し、火をつけた。再び視界が明るくなる。
「! 下見て!!」
シーラの叫びに、反射的に足元を見る。と、ユウリがさっきまでいた場所には、人一人通れるだけの大きさの穴が開いており、覗いてみても真っ暗で何も見えなかった。
「ユウリー!!! 大丈夫ー!?」
何やら下の方で物音がするが、ユウリの声はしない。聞こえないくらいそこまで落ちていったのか、それとも……。
下手な考えはやめよう。私は思い切り頭を振った。
いきなりパーティーのリーダーを失い、途方にくれる私たち。ここで待った方がいいのか、それとも先に進んだ方がいいのか。判断しなければならないのに、恐怖と絶望で思考が止まる。
ふと見渡すと、穴の開いている場所は、十字路のど真ん中だった。前方と左右、三方に同じような狭い通路が延々と延びており、特徴のない石壁が妙に恐ろしく感じてしまう。
「どうしよう……。大丈夫かなユウリ」
口に出すことで、少しでも心を落ち着かせる。だが、不安の現れな
[8]前話 [1]次 [9]前 最後 最初 [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ