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少女A
第二章

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「だからさ。今日の放課後さ」
「マジックね」
「一緒に行かない?」
「嫌って言ったら?」
 眉を思いきり顰めさせて。彼に言ってやった。
「そうしたらどうするのよ」
「また明日誘うけれど」
「明日って」
「そう。明日また誘うけれど」
「明日も嫌って言ったら?」
 結構意地になってきてたのは自分でもわかる。それでまた彼に言ってやった。
「どうするのよ。明後日も明々後日も」
「ずっと誘うよ。他のお店かも知れないけれどね」
「ずっとなのね」
「そう。ずっとだよ」
 にこにことして私に言ってくる。
「ずっと誘いかけるからね」
「完全にストーカーじゃない、それじゃあ」
「ストーカーじゃないよ。こうして堂々とアプローチしてるし」
 そこは違うのは私もわかってる。この子はストーカーじゃない。けれどそれでもだった。私はその強引で執拗なアタックが気になって言ってやったのだ。
「で、それでなのね」
「そう。正々堂々と立ち向かうのが俺の心情だしね」
「そうして毎日言うつもりなのね」
「マジック行かない?」
 本当に正面から堂々と。私に言ってきてくれた。
「どうかな、それで」
「わかったわよ」
 断っても断ってもなら覚悟するしかなかった。それでだ。
 私はこの子のアタックを受けた。それでだった。そのイギリス風のダークブラウンの色彩のお店に入った。そこで向かい合って紅茶を飲みながら言ったのだった。
「美味しい紅茶だけれどね」
「うん、美味しいよね」
「ええ。紅茶はいいわ」
 それはだとだ。私は言う。その紅茶を飲みながら。
 けれどそれでもだった。私は彼に本題を言ってやった。ここで。
「あなたさえいなければ最高だったわ」
「えっ、俺君が一緒だから余計にいいけれど」
「だから。何で私なのよ」
 目を怒らせてみせた。けれどどうしてか本心じゃなかった。それは自分にもわからない。
 けれどそれでも意地を張って。私は彼に言ってやった。
「私と一緒にいたいのよ」
「いつも言ってるじゃない。好きだからだよ」
「好きだから?私を?」
「そうだよ。本当にね」
「あのね。私なんてね」
 何も包み隠さないその言葉に内心少し呆気に取られて。私は彼に言い返した。紅茶はもう自分の前に置いている。そのうえでの言葉だった。
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