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レーヴァティン
第百七十二話 甲斐平定その二

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「まずはだ」
「枝からじゃ」
「切ってだ」
 そうしてというのだ。
「邪魔なものを取り払ってな」
「切るのう」
「これまでもそうしてきたが」
「今度もじゃな」
「そうする」
 まさにというのだ。
「甲府城だけにする」
「そういうことじゃな」
「今からな、ではな」
「早速じゃな」
「他の城や砦を手中に収めていく」
 こう言って実際にだった。
 英雄は八万の兵で甲府城を囲み当季達六人にそれぞれ八千ずつ兵を預けてそうして甲斐のまだ降っていない城や砦を攻略させていったが。
 英雄は甲府城を厳重に囲みつつ兵達にはこう言った。
「いいか、ではだ」
「はい、厳重に囲み」
「蟻の子一匹通れない様にしました」
「それならですね」
「これよりですね」
「囲んだままだ」
 その様にしてというのだ。
「お前達は見張りの者以外はくつろげ」
「そうしていいのですか」
「敵は囲んでいますが目の前です」
「そこにいてもですか」
「そうだ、夜は酒を飲み」
 そしてというのだ。
「昼も美味いものを食い遊び女や男もな」
「楽しんでいいのですか」
「そうしても」
「だからそうした女や男を呼んだ」
 所謂遊女達をというのだ。
「甲斐だけでなく信濃や関東からもな」
「呼んで集めたのですか」
「そうしたのですか」
「ここに」
「そうだ、その者達と遊べ」 
 こう兵達に告げた。
「その分の禄は渡しているしな」
「存分にですか」
「楽しんでいいのですか」
「陣中にあって」
「その様に」
「その遊ぶ姿を城の敵達に見せてやり」
 そしてというのだ。
「甲斐のまだ降っていない者達にもな」
「知らせる」
「我等の遊びを」
「そうしますか」
「敵は辛い」
 そうした状況にあることは間違いないというのだ。
「その辛い相手を閉じ込めたならだ」
「あえてですか」
「美味いものを食い酒を飲み」
「遊び戯れる」
「その姿を見せてやりますか」
「そうすれば敵は戦い気をなくす」
 そうなるというのだ。
「只でさえ他の城や砦が降り落ちていくしな」
「そうしてですか」
「敵の戦う気をなくさせ」
「そしてですか」
「最後には」
「降らせる、俺は常にな」
 まさにというのだ。
「戦わずしてだ」
「そうしてですか」
「そのうえで、ですか」
「勝ちますか」
「そうしますか」
「そうだ」
 まさにというのだ。
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