暁 〜小説投稿サイト〜
魔法絶唱シンフォギア・ウィザード 〜歌と魔法が起こす奇跡〜
無印編
第50話:水月で愛を語らう
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をする。
直ぐに気を取り直して、目の前の景色を注意深く見渡す。
見た所、覚えている範囲で景色には何の変化も起こっていない。と言うか、流石に彼一人で景色に変化は起こせないだろう。これがテレビで放送されたりするレベルの手の込んだ手品であれば、アシスタントの1人や2人は居るのかもしれないが、彼は1人で活動する流浪の手品師だ。手品をする上でのパートナーの存在も聞いたことが無いし、見る限りにおける異変は起こっていないだろう。
では一体何が? と奏が考えている間に、颯人は徐に柵を乗り越えると、あろう事か海面に向かって飛び下りたではないか。
「お、おいッ!?」
いきなり何をするのかと、奏は颯人の手を掴もうと身を乗り出す。
しかし次の瞬間、奏は自らの目を疑った。何と柵を乗り越え飛び込んだ颯人は、海面に出来た月の光の道の上に平然と佇んでいたのだ。
「……はっ!?」
「へへっ! どうだ? 奏も来てみろよ! 海面歩くってのもなかなか乙なもんだぜ?」
そう言って颯人は月の光の道を行ったり来たりする。得意げに見上げてくる颯人に対抗心を燃やす奏だが、やはり何も考えず海に飛び込むのは少し勇気が必要だった。下を見れば街灯に照らされている水面に足場は見当たらず、足を踏み入れて良い場所がどこからどこまでなのか見当がつかない。
及び腰になり片手で策を掴みながら、そぉっと足を下ろす奏を見ていた颯人は柵を掴んでいない方の手を引っ張った。
「わ、わ、ちょ、まっ────!?」
いきなり引っ張られた事でそのまま颯人に向かって落ちる奏。その奏を、颯人が見事に受け止めて見せた。
「よっと、一丁上がり!」
「んなっ!? お、おい颯人ッ!?」
「おいおい、暴れると落ちるぞ」
颯人に受け止められた奏は、彼によってそのまま横向きに抱きかかえられた。所謂お姫様抱っこと言う奴だ。生まれてこの方こんな扱いをされた事など、それこそ記憶も定かではない子供の頃に足を怪我したかで父にやってもらったくらいしかない。
しかも相手は意中の相手である颯人だ。落ち着いてなどいられない。
「ん、思ってた以上に軽いな。抱き心地も良い」
「あのなぁっ!? いいから下ろせ!?」
「足踏み外さない自信があるなら下ろしてやっても良いけど?」
そう言われると、流石に抵抗する気も失せてしまう。もう何となくタネは分かっている。海面のすぐ下に、アクリル板か何かの足場を設けてあるのだ。水とアクリル板を用いた手品を何度も見せられたので、この程度の手品ならすぐに分かる。
問題なのは、この足場がどの程度広さがあってどこまで続いているかが分からない事だ。設置した颯人は当然知っているだろうが、生憎と奏には予想する事しか出来ない。そして一歩足を踏み
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