暁 〜小説投稿サイト〜
Fate/WizarDragonknight
迷子の迷子のチー君
[4/5]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
不自然に思えたハルトは、

「そっか。じゃ、お姉ちゃんはどんな人?」

 と聞き直した。
 すると、チー君はぱあっと顔を輝かせた。

「お姉ちゃんは大好き! いつも一緒!」
「そ、そうなんだ」
「でも、お外ではぐれちゃった……どこにいるか分かんない」

 そう言われて、ハルトとまどかは顔を見合わせる。

「どうしよう……まどかちゃん?」
「お姉さんが来てくれるのを待つしかないですよ。こういう時は、迷子になったところから動かないに限ります」
「そういうものか? まあ、だったら……」

 ハルトは、再び小さなお客様に、ちょっとした手品を見せる。一つ一つが彼には新鮮なのだろう。目をキラキラさせている。

「よし。じゃあ次は……」

「見つけた!」

 花を鳩に変えたハルトは、頭上から降ってきた声に反応する。
 病院の壁となる、無数のガラス。そのうち一枚。天井付近のガラスより、青空のような髪が突き出ていた。
 まどかよりも少し年上くらいの少女。ツーサイドアップの彼女は、同じく蒼い瞳で、チー君を見下ろしている。

「ちょっと待ってて! チー君! 今行くから!」

 彼女は大声で身を乗り出している。そして、
 あろうことか、支えである手を滑らせた。

「え?」
「え?」

 ハルト、まどかもともに茫然としている。
 体の比重が、徐々に外側が大きくなっていく。
 それはつまり。

 病院の窓から外に出てしまったということで。

「きゃあああああああああああああああ!」

 蒼髪の少女の悲鳴が上がる。
 高層ビルも顔負けの高さからだから、間違いなく落ちれば彼女の命はない。

「やばっ! 変身!」
『ハリケーン プリーズ』

 ハルトはノータイムで、エメラルドの指輪を使用。
ハルトの前に現れた、突風纏う魔法陣。緑のそれをくぐり、ハルトは風のウィザードとなる。
 そのまま上昇、蒼髪の女性をキャッチ。緑の風とともに、地面に降り立つ。

「ふう……大丈夫?」

 お姫様抱っこをしたまま、ウィザードはハルトに戻る。蒼髪の少女は、「へ? へ?」と、金魚のように口をパクパクさせている。

「お姉ちゃん!」

 彼女を下ろしたタイミングで、チー君が駆け寄ってきた。蒼髪の少女の腰に抱きつき、それでようやく彼女は我に返る。

「はっ! チー君、どこ行ってたの? 心配したのに」
「えへへ」

 蒼髪の少女の注意も、チー君は笑って答える。

「お兄ちゃんからこれ貰った!」

 チー君は、折鶴を見せびらかす。蒼髪の少女はチー君の頭をなでながら、

「全くもう……あ、ごめんなさい。面倒見てもらっちゃって」
「いえいえ」

 まどかは手を横に振る。

「ハ
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2024 肥前のポチ