迷子の迷子のチー君
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不自然に思えたハルトは、
「そっか。じゃ、お姉ちゃんはどんな人?」
と聞き直した。
すると、チー君はぱあっと顔を輝かせた。
「お姉ちゃんは大好き! いつも一緒!」
「そ、そうなんだ」
「でも、お外ではぐれちゃった……どこにいるか分かんない」
そう言われて、ハルトとまどかは顔を見合わせる。
「どうしよう……まどかちゃん?」
「お姉さんが来てくれるのを待つしかないですよ。こういう時は、迷子になったところから動かないに限ります」
「そういうものか? まあ、だったら……」
ハルトは、再び小さなお客様に、ちょっとした手品を見せる。一つ一つが彼には新鮮なのだろう。目をキラキラさせている。
「よし。じゃあ次は……」
「見つけた!」
花を鳩に変えたハルトは、頭上から降ってきた声に反応する。
病院の壁となる、無数のガラス。そのうち一枚。天井付近のガラスより、青空のような髪が突き出ていた。
まどかよりも少し年上くらいの少女。ツーサイドアップの彼女は、同じく蒼い瞳で、チー君を見下ろしている。
「ちょっと待ってて! チー君! 今行くから!」
彼女は大声で身を乗り出している。そして、
あろうことか、支えである手を滑らせた。
「え?」
「え?」
ハルト、まどかもともに茫然としている。
体の比重が、徐々に外側が大きくなっていく。
それはつまり。
病院の窓から外に出てしまったということで。
「きゃあああああああああああああああ!」
蒼髪の少女の悲鳴が上がる。
高層ビルも顔負けの高さからだから、間違いなく落ちれば彼女の命はない。
「やばっ! 変身!」
『ハリケーン プリーズ』
ハルトはノータイムで、エメラルドの指輪を使用。
ハルトの前に現れた、突風纏う魔法陣。緑のそれをくぐり、ハルトは風のウィザードとなる。
そのまま上昇、蒼髪の女性をキャッチ。緑の風とともに、地面に降り立つ。
「ふう……大丈夫?」
お姫様抱っこをしたまま、ウィザードはハルトに戻る。蒼髪の少女は、「へ? へ?」と、金魚のように口をパクパクさせている。
「お姉ちゃん!」
彼女を下ろしたタイミングで、チー君が駆け寄ってきた。蒼髪の少女の腰に抱きつき、それでようやく彼女は我に返る。
「はっ! チー君、どこ行ってたの? 心配したのに」
「えへへ」
蒼髪の少女の注意も、チー君は笑って答える。
「お兄ちゃんからこれ貰った!」
チー君は、折鶴を見せびらかす。蒼髪の少女はチー君の頭をなでながら、
「全くもう……あ、ごめんなさい。面倒見てもらっちゃって」
「いえいえ」
まどかは手を横に振る。
「ハ
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