見滝原中央病院
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わせ時間に正確ならば、すでに一時間ここで待たせてしまったことになる。
しかしまどかは両手を振り、
「いえいえ。ファントムが現れたんでしょう? だったら、仕方がないですよ」
「あ、ありがとう!」
本当は時間ギリギリに行けばいいやと寄り道していたショッピングモールに現れたということは押し黙っていた。
「ふえ……チノちゃん、こんなに大きな病院に入院しているんだ……」
「他の生徒たちとは違って、安全地帯である教室から出ていたということで、ストレス以外にも、体の異常を調べるそうですよ」
「へえ……昨日は確か……」
「可奈美ちゃんがお見舞いに行ってたそうです」
「ああ。元気そうだって言ってたな。でも、チノちゃんそんなに何かあったのかな? もう一週間だよ?」
ハルトは、大きくそびえる病棟を見上げた。
高層ビルにも負けない巨大な病院は、無数のガラスが張り巡らされており、その中を忙しなく行き来している人たちまで見える。
「チノちゃんとマヤちゃん……あ、一緒に入院してるチノちゃんの友達なんですけど。やっぱり色々ショックが大きかったそうです。キャスターさんとの戦いとかも間近だったせいもあるって、響さんが言ってました」
「ふうん……キャスターか……」
ハルトが顔を曇らせる。
キャスター。聖杯戦争の参加者の一角であり、ハルトにとって最も太刀打ちできない相手だった。黒翼の天使と呼ぶべき姿の彼女に立ち向かえたことが、ハルトにはなかった。
そのまま、まどかの後で、ハルトは病院の自動ドアをくぐった。
「うわ……」
病院内で、その大きさにハルトは唖然とした。
さらに大勢の人があわただしく動いている。看護婦や受付がカルテを持ってゆっくりと走り回り、車いすの人や老人たちも理路整然と、順番待ちをしている。
動けないハルトとは別に、まどかは手慣れた様子で受け付けで用を済ませて戻ってきた。
「ハルトさん。……ハルトさん!」
「うわっ!」
「どうしました?」
「いや……なんか、圧倒された。まどかちゃん、随分慣れてるね」
「私の友達の幼馴染がここに入院してますから、私もたまに来るんです。あ、チノちゃんは五階ですよ」
「五階……」
なんとなく、ハルトは天井を見上げた。中央が吹き抜けとなっており、十階だか二十階だかの屋上のガラスまで視界が開けている。
「……俺のハリケーンで行った方が速いような」
「ハルトさん。常識捨ててますよ? そんなに理性吹き飛ぶほどですか?」
「だってさ、こんなに大きい建物、俺の地元でも旅でも見たことないから」
「ハルトさん、今までどこを旅してきたんですか? 東京って行ったことない?」
「ない」
「うわ、アッサリ」
そうして、二人はエレベー
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