見滝原中央病院
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アナザーウィザードの正体、我妻由乃。ウィザードとして倒した後、行方をくらませた彼女は、異変解決後に死体として見つかった。喉を掻き切られたらしく、犯人は依然として捕まっていない。
真司はポンと、ハルトの肩を叩く。
「犠牲を忘れろなんて、俺には言えない。俺だって、こんな悲しみを繰り返したくはないから」
「……でも……」
「でも、そうやってお前がくよくよしている間に、他の参加者が現れるかもしれない」
真司の言葉に、ハルトは黙った。
真司は続ける。
「そいつが、またアサシンのマスターみたいに誰かを巻き込むかもしれない。俺は、この手で守れる命は全員守る。そのために、俺たちは立ち止まっちゃいけないんだよ」
「……そう……だね」
ハルトは頷いた。すると、真司は「よし!」と頷き、
「じゃあ、どこか行くか? 俺、今住むところ探しててさ。ほら、お前の下宿先に行くわけにもいかないだろ? 衣食住全部足りなくて……」
「あ、ああ。いいけど……ん?」
ふと、ハルトは何かに気が付いた。腕時計を見下ろし、
「あっ! そうだった! 約束に遅れる!」
ハルトは慌てて、指輪をバックルにかざした。
『コネクト プリーズ』
出現した、ハルトと同じくらいのサイズの魔法陣に手を突っ込む。すると、そこからは銀を基調としたバイクが現れた。ウィザードの仮面をモチーフにしたハンドル部分。マシンウィンガーという名のそれに、ハルトはすぐさま乗り込む。
「ごめん! 真司さん! 俺、まどかちゃん……知り合いの子と待ち合わせあるから!」
「お……おう! 行ってこい!」
ハルトは手で感謝を示し、アクセルを吹かす。
真司が最後に後ろからかけた言葉は、ハルトには聞こえなかった。
「いいなあ……若いって」
見滝原中央病院。見滝原の病院で、最も大きな病院である。
東京ドームに匹敵する敷地内に、大きな複合病棟。病院として、あらゆる患者を受け入れており、のみならず無数の医学的発見もしている。
そんな施設に足を踏み入れるのは、ハルトにとっては初めての機会だった。
病院の入り口。でかでかと『見滝原中央病院』と記されている石の看板のそばに、目当ての人物はいた。
「まどかちゃん!」
バイクを駐輪場に止めたハルトは、スマホをいじっているそのツインテールの少女に声をかけた。
ハルトよりも低い背。白いセーラーブレザーが、彼女が見滝原中学校の生徒だと語っている。
ハルトの声に、まどかと呼ばれた少女はこちらを向いた。
「あ、ハルトさん!」
「ごめん遅れて! なんか、凄まじく待たせてしまったみたいで」
午後四時を刻む腕時計を見ながら謝るハルト。彼女が待ち合
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