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黄泉ブックタワー
第一章 それは秋葉原にそびえ立つ魔本の塔
第2話 きっと、いい人間だ
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校通い。部活動などにも一切参加せず。親友と呼べるほどの仲のよい友達はできなかった。
 成績だけはまともだったおかげか、いじめの対象にまではならなかったが、楽しかった記憶などもない。学校行事なども苦痛で、ただ早く過ぎればいいと願うだけの時間だった。

 大学は一人で勉強だけしていればよいので、楽になるだろう――そう期待したこともあった。
 結果は残念ながらそんなことはなく、語学や専門科目では横のつながりが必要なことが多く、さほど楽にはならなかった。しかも三年生からはゼミへの所属が必須で、連日ゼミ生や院生、教授らとの付き合いが必要になり、うまく溶け込めないアカリには苦痛度が増した。

 そんな中、不満のはけ口になってくれていた唯一の人間が、祖父だった。
 祖父は定年退職するまで大学教授をしており、エリートといってよい経歴の持ち主だった。
 だが両親とは違い、アカリに勉強を強要してくることはなかった。却下されていたが、「もっと遊ばせてやったらどうだ」と両親に言ってくれていたこともあった。

 年相応の説教臭いところはあれども、基本的にはどんな愚痴でもきちんと聞いてくれて、優しく励ましてくれた。大好きで、尊敬していた。
 ただ――。

「どうせやるなら楽しまなければ損」

 常日頃から説教とセットで言われていた祖父のその言葉については、笑いながらハイハイと聞き流していた。
 どう考えても、楽しめそうなことがないような気がしていたからだ。

 大学三年生の終わりから始まった就職活動は、うまくいった。
 成績証明書はほとんどB評価以上で埋まっていたし、適性検査も対策していたので、書類や筆記試験で落ちることはほぼなかった。面接だけは心配だったが、わりと肝は座っている方だったこともあり、協調性がなくて友達がいないということがバレることもなく。
 結果、両親の要求どおり、上場企業へ総合職として採用された。

 だが、やはり入社してからは困ることになった。
 他の社員――特に先輩社員とうまく付き合うことができなかったのである。

 同じ女性総合職の先輩がOJTの教育担当についていたが、おそらく不愛想で可愛げのない後輩と思われているのだろう。新人いびりに近いようなこともされたことがあり、内心ではお互いに嫌いという状況だったと思われた。その関係は今も続いている。

 他の同期入社の人たちを見ていると、すぐに先輩社員との距離を詰めており、うまくやっていた。
 懐に入る――それが他の人間は上手なのである。
 否、自分が下手すぎるのだろう。そんな自覚もあったのだが、打開することはできなかった。

 これで仕事自体が楽しければ、まだよかったのかもしれない。
 だが最初に配属された部署は、希望していた経理課が人員過剰とのことで、
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