暁 〜小説投稿サイト〜
幻の月は空に輝く
衝撃
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 NARUTOを思い出し、私はゾッとした。
 主人公のナルトに対する里の人間の対応の冷たさ。九尾の事件の後、里の英雄である四代目の息子のナルトは、父親と同じ英雄にはなれなかった。 
 多分、里を壊し多くの命を奪った九尾への嫌悪が先立ち、怒りと憎しみの矛先をただ九尾を宿らせられただけのナルトに向けた。私は漫画を読んでてそう感じてしまった。だから、小説でアンチ里の人間なんていうものは結構読んだりもした。読んでて、あの態度にはものすっごく腹がたったのだ。
 大人しく私の腕の中に収まってくれている天華を更に強く抱きしめ、深い深呼吸をして身体の中の空気を入れ替える。

 平和な現代から生まれた私が、天華を護れる強さを身につけられるだろうか。
 天華がいなかったら、ただの通行人Aの私が、強いチャクラを身につけられるだろうか。

《ラン》

「(……ん?)」

 私の不安を感じ取ったのか、天華が腕の中で身動ぎしながら私を見上げてくる。

《ランは我の姉。我が護ろう。ランは何一つ不安に思う事はないのだ》

「(………)」

 嬉しい。嬉しい天華の言葉。でも、ね。

「(天華。天華の気持ちはすごく嬉しい。でも…私も天華を護りたいんだよ。両親を護りたいんだ。そして…)」

《………》

 ナルトの親友になりたい。だなんて。
 まだ出会ってもいないのに、私の脳裏に浮かんだ言葉。
 それは言葉にしないまま、私の中へと消えていく。

 思考の渦の中へと突入した私は気付かなかった。
 天華がジッと私を伺うように、心配そうな眼差しを向けていた事に。
 そしてこの一連の会話が、何があっても、何を犠牲にしても私と私の大切な人だけは護ると、天華に決意させていた事に。
 今の私は気付けなかった。



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