16,刀の重み
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という形で。
私は集合場所の主街区転移門前へと向かうべく、市場の中へと入っていくが足取りは重い。
クロウさんは別行動らしいし、アルゴさんと二人でどうやって過ごせばいいのだろう。せめてキリトさんあたりが付いてきてくれればいいんだけど。
転移門が見えてきたところで、私は一度路地裏に入り込んだ。
崩れ落ちるように座り込むと、ため息が自然と漏れてしまう。人目がないとはいえ、なんてだらしのない。
たかが、数時間。それだけ狩りをすればいいだけだ。
深く深呼吸。それを繰り返す。いつも通りとはいかなくとも、せめて私らしく振る舞わなくては。
意を決して転移門前に姿を出すと、数人の人影の中に馴染みのフード姿はなかった。
もしかしたら早く着きすぎたのかもしれない。仕方がないので、ベンチに腰を下すと、転移門へ走り込んでくる男が見えた。
頭には柄の特徴的な赤いバンダナを巻き、髪は赤く逆立っている。
息を吐くその顔は無精髭が生えていて荒っぽく、新宿辺りでみたら、職質をかけるに違いない。
全身を和風の甲冑で包み込んだ男に注目したのは他でもない。その腰の得物が私と同じカタナだからだ。
――スペシャルゲストも登場予定だヨ
都合よくやってくるカタナ使い、息は荒くまるで待ち合わせに間に合わせるかのように走り込んできた。
「おはようヤー嬢。ついでにクー助。じゃあ出発だな」
いつの間にか姿を表したアルゴさんの言葉により、私はああ、この人がスペシャルゲストか、と遅まきながら理解した。
終わってみれば、他愛のない。そんな印象の狩りだった。
最前線から遠く離れた15層での狩り。
私もクラインさんも新参ながら攻略組を名乗るだけのレベリングをしていて、楽勝の相手との戦いだった。
「うーーん、ちょっと相手が弱すぎたかもナ」
帰り道でアルゴさんが唸るのも無理はない。
危なくなれば手を貸すという条件だった情報屋はついにフィールドで一度の戦闘もする事はなかった。
遠くでこちらの戦いを記録するだけで、敵は私やクラインさんが浮舟と緋扇の連続ソードスキルで倒して回る。
そんな時間を二時間ほど続け、狩り場を変えてさらに1時間。
退屈と言っては可笑しいが、しかし有意義でなかったのは確かだ。
「しかしアルゴよう、このあとは対人でのスキル検証って何すんだよ?」
クラインさんは無精髭を触りながら声をかける。それは私も気になっていた。
対人性能なんて調べて一体、何になるのだろう?
あ〜〜それか、とアルゴさんは鼻にかかった声を出し、
「ウィークリーアルゴで書こうと思ってナ。人気になりそーな気がするんダ」
とニヒヒと笑いだした。
「人のスキルと対戦成績で小銭を稼ぐんですか」
対する私の声は陰湿その
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