16,刀の重み
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をしていたんですか?」
そこで、私は自分の過ちに気がついた。この人と話すうえでの大前提は疑問形を作らないことだ。
予想通り、右手が差し出される。会話を終わらせてもよかったが、このままでは気味が悪い。
しょうがなく、私は100コルをその手にそっと乗せた。
「まだまだ珍しいカタナスキルの研究が第一だナ。ヤー嬢の振りが速すぎて太刀筋が見えなかったけどサ」
「それなら今日一日かけて、見せるはずでしょう」
「予定は空けてくれたんだナ。おねえさん、嬉しいゾ」
アルゴさんはニヒヒ、と笑った。
そう、なぜ迷いを絶ちたかったかといえば、他でもない。
この鼠のアルゴと私はパーティーを組んで、私の刀スキルの検証を行うのだ。
そして、何を隠そう、私はこの鼠のアルゴが苦手なタイプに他ならなかった。
「ま、ヤー嬢の他にもスペシャルゲストが登場予定だヨ。期待しておいてくれよナ」
スペシャルゲスト?一瞬、頭がそちらに切り替わるが、今はそのふざけた呼び方のほうが先だ。
自分史上、最も怖い顔を作りながら、
「それは構いませんが、私のことをヤー嬢と呼ぶのは止めてもらいたい」
「ん、ヤー嬢はヤー嬢だナ」
ほら、この態度。
こちらの意見になんてアルゴさんは聞く耳を持たないんだ。
清廉な修練をしていた筈なのに、汚された気がした。
私は今、あなたへの迷いを晴らしたところなのに。
「この際だから言いますが、私はあなたのことが嫌いです。情報屋としてのあなたは節操がなさすぎる」
「そうか、オイラはヤー嬢のこと好きなんだけどナ」
意にも返さず、そのふざけた髭をありもしないのに弄っている。そういう態度も正直、苦手だ。
「もういいです。失礼します」
私はカタナの鞘を掴んで足早に立ち去ろうとした。アルゴさんの横を通り過ぎようとした時、
「――――――――だけどナ」
とアルゴさんがボソリといった。
「――ェ?」
「オトメの秘密を聞き直すなら、10000コルだゾ」
アルゴさんはニヒヒと笑って宿の中に駆け込んでいった。
また、からかわれたのか。
そう思って私も朝食を頂くべく、宿の中へと入っていった。
そもそものきっかけはあの日、私がエクストラスキル「刀」を公衆の面前に晒したことに起因する。
出現情報こそ分かっていたものの、結構な曲刀スキル熟練度を必要とするカタナスキルはまだ狙って出せているものは少なく、スキルの詳細は皆無に近い状態だった。
そんな中、最強の情報屋であるアルゴさんにそれを知らせてしまったのは、警察署の前でナイフを振り回すようなものだ。
根掘り葉掘り聞かれたあと、私はアルゴさんの目の前でカタナスキルを見せることになってしまった。
昼は狩り、夕方はデュエル
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