第91話『恋人』
[6/6]
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
してはいけない。
「まま待って! 結月、ストッ──」
「ハレンチ警察だ!!」
「「えっ」」
その声に振り返ると、服を着たままの智乃が浴室のドアを開けて仁王立ちしていた。
*
その後、智乃に現場を押さえられ、現行犯で逮捕されてしまった。
今は彼女の部屋で晴登と結月が床に正座をし、智乃はその目の前で椅子にふんぞり返っている。
「弁明は?」
「「ありません……」」
2人きりだからと思って、騒ぎすぎてしまったせいだろう。浴室の防音性能はそこまで高い訳でもないし、智乃に気づかれるのも当然である。
それでいて、2人でお風呂に入っていたことも、ちょっとヤバいことをしていたことも見つかってしまった。何と罵られようと反論はできない。
「家に帰ってきてから何か変だと思ってたけど、まさかそういう関係になってるだなんてね〜」
しかもやけに察しが良い。やはり女の勘は侮れなかったか。無念。
「それじゃ、土産話として全部聞かせてね」
「「はい……」」
今回ばかりは智乃には逆らえない。
結局その後、林間学校で起こったことを洗いざらい全て吐かされた。自分の恋愛事情を説明するとか、どんな仕打ちだよ。
しかもそれだけでなく、明日から1週間、晴登はトイレ掃除を、結月は浴槽掃除を担当することになった。何だろう、ここぞとばかりに仕事を押しつけられた気がする。
全く、今後は学校だけでなく、家でも気疲れしそうだ。やれやれ……。
「……あーあ、お兄ちゃん取られちゃったかぁ。でも結月お姉ちゃんとなら、きっと上手くやっていけると思うな。お兄ちゃんが幸せでいてくれるなら、私はそれだけで嬉しいよ」
智乃はひっそりと、その言葉を心にしまった。
[8]前話 [9]前 最初 [1]後書き [2]次話
※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりを挿む
[7]小説案内ページ
[0]目次に戻る
TOPに戻る
暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ
2024 肥前のポチ