暁 〜小説投稿サイト〜
非日常なスクールライフ〜ようこそ魔術部へ〜
第91話『恋人』
[4/6]

[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話
通り身体にお湯をかけると、ゆっくりと湯船に入ってきた。
直視をしないように晴登が背中を向けたため、2人は自然と背中合わせになる。


「ふふ、やっぱりハルトはこうすると思ったよ」

「し、しょうがないじゃん……」


浴槽はそこまで大きくはないので、背中が触れ合う。とはいえ、隔てるのはタオル1枚だ。そう意識すると、背中合わせの姿勢でもドキドキしてしまう。


「別にハルトにだったら見られてもいいのに」

「そ、そういう訳にはいかないだろ」


結月はからかうようにクスクスと笑った。くっ、完全に弄ばれている。
かといって何かができる訳でもないので、晴登は三角座りをキープ。

すると結月が唐突に一言、


「ねぇハルト、背中流してあげよっか?」

「え!?」


背中越しなのに、小悪魔の様な笑みを浮かべている結月が目に浮かぶ。一緒にお風呂に入るとはいえ、そこまでやるか普通。


「い、いや、自分でできるよ」

「そう言わずにさ。恋人なんだから」

「……それズルくない?」


「恋人だから」と言われてしまえば、晴登だって拒否がしにくい。
結局晴登は結月に根負けする形で、背中を流すことを許可したのだった。

2人は湯船から上がり、晴登は椅子に座って、結月はその後ろに膝立ちになる。


「じゃあ洗うよ」

「お、お願いします……」


結月がタオルに泡を立て、ゆっくりと晴登の背中に押し当てる。
人に背中を洗ってもらうなんて何年ぶりだろうか。しかも相手が恋人ともなると、余計にくすぐったい気分だ。


「ど、どうかな……?」

「あ、うん、いい感じだよ……」


ゴシゴシと、程よい強さで背中を擦られて心地よい。結月の思いやりが、タオルを通じて伝わってくる。
しかし、お互いに恥ずかしがるせいで、微妙に気まずい。


「……やっぱり、晴登の背中は大きいな」

「そ、そんなことないよ」

「ううん、ボクを守ってくれる、立派な背中だよ」

「ちょ……!」


突然結月が聞くだけでも恥ずかしいことを言ったかと思うと、背中に手を当ててきた。ヒンヤリとした体温が、火照った身体には余計にくすぐったい。


「ふふ、びっくりした?」

「するに決まってるじゃん!」

「そんなに怒んないでよ。ならお詫びに……前も洗ってあげようか?」

「それは結構です!」


晴登はその魅惑的な提案を全力で拒否し、タオルを半ば強制的に受け取る。
そしてそそくさと前側を洗うと、すぐにお湯で身体を流した。


「ふぅ……」

「それじゃハルト、ボクもお願いしていい?」

「えっ」

「背中だけでいいからさ」

「……はぁ、
[8]前話 [1] [9] 最後 最初 [2]次話


※小説と話の評価する場合はログインしてください。
[5]違反報告を行う
[6]しおりをはさむしおりを挿む
しおりを解除しおりを解除

[7]小説案内ページ

[0]目次に戻る

TOPに戻る


暁 〜小説投稿サイト〜
利用規約/プライバシーポリシー
利用マニュアル/ヘルプ/ガイドライン
お問い合わせ

2025 肥前のポチ