第91話『恋人』
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ではないことは明白だった。だからいつもなら即断るところだが、もはや受け入れなければならないのかもしれない。でもやっぱり恥ずかしいし……!
「ダメ……?」
「う、いや……」
結月は上目遣いに訊いてくる。
そんな可愛い顔するのは反則だろ。断るに断れなくなってしまう。
「難しく考えないでよ。ボクはただ、ハルトと一緒にお風呂に入りたいだけなんだ」
「それが十分悩みの種なんだけど……わかったよ」
「やった!」
結月の純粋な願いに、ついに晴登は屈してしまう。思うことは色々あったが、何より断る理由が思いつかなかったのだ。
そう、これは仕方のないことである。ただ一緒にお風呂に入るだけなのだ。決して疚しいことじゃない。恋人同士のスキンシップというやつだ。
「じゃあ先に行ってて。後から行くから」
「わ、わかった」
返事をすると、結月はニッコリと微笑んで部屋から出ていく。
が、何かを思い出したように突然振り向くと、一言、
「ねぇ、タオルで隠した方がいい?」
「な……当たり前だ!」
晴登が叫ぶと、結月は意地悪く笑って部屋から出ていった。
全く、最後にとんでもない爆弾を残していきやがって。タオル無しなんてそんなの……ダメだ、想像してはいけない! 落ち着け三浦 晴登!
「夢……じゃないんだよな」
頬をつねって痛みがあることを確認すると、晴登は現状を再認識。うん、非常にヤバい。
女子と一緒にお風呂に入ったのなんて、智乃と……あと小さい頃に莉奈とだけか。いや、めちゃくちゃ緊張するんだけど……。
「でも後には引けないしな……」
承諾してしまった以上、もう腹を括るしかないのだ。恥ずかしいとか言っていられない。
覚悟を決めた晴登は、風呂場へと向かうのだった。
*
「ハルト、入るよ……?」
「う、うん……」
結月に言った手前、今日だけは腰にタオルを巻いて湯船に浸かっていると、ドアの向こうから彼女の声が聴こえてきた。
それに返事をした晴登は、続けて大きく深呼吸をする。
これはただのスキンシップ、これはただのスキンシップ──良し。
「お邪魔します……」
「あ……!」
控えめにドアを開けて、結月が入ってきた。
ちゃんとタオルで身体を隠してはいるが、タオル越しにわかるすっきりとした身体のラインや真っ白な素肌を見ると、やはり水着姿以上に破壊力があった。どうやらこれも直視はできそうにない。
「えっと、湯船失礼します……」
「は、はい! どうぞ!」
緊張して変な口調になりながら、晴登は姿勢を変えて、結月もお湯に浸かれるようにする。
そして彼女は一
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